ハクビシンかなにか続報

 これの数日後だったか翌日だったか、アパートを管理する不動産屋からの封書が届いた。曰く、なにか住んでるっぽいので市(だったか区だったか)の害獣をなんたらするどうたらにお願いして捕獲器を設置するからさわんないでね、中になんか入ってたら連絡してね、ということだった。なんか不動産屋が業者呼ぶような想像しかしてなかったので、行政が出てくるのは意外に思ったが、まあそういうものなのだろう。
 と、しばらく経っても敷地内にそれらしきものが設置されないと思っていたら、夜だったか、ドアノックから上のおっさんが尋ねてきた。曰く、捕獲器を設置すると動物愛護なんたらで抗議してくる市民がいるから、結局入り込めそうな穴があったので仮にそこに石を詰めて入れなくした。そのうちきちんと板で塞ぐということになった、ということらしい。
 で、おっさん、その翌朝、休みの日だったか、また尋ねてきて、今から塞ぎ穴の確認に行くから、一応断っておこう云々。いや、べつに一階の敷地内は一階住人の領地じゃねえと思うし、そんなことで断らんでもなどと。
 そんで、一階のおれの隣の人について話しだして、ずっと換気扇が回りっぱなしで気配がないがみたいなことを言う。おれは一階だけ隣の住人とばったり深夜十二時くらいに出くわしたが、その後ひとの気配というと、あったりなかったり、まあ結局朝起きて会社に行って、夜帰ってきて、そんな隣の部屋の動向は気にならんというか。そんで「いや、ぼくもときどき着けっぱなしで家出ちゃいますよ」なんて言ってみたら、「いや、一日中だ」とかいう。なんか火事になったりすんの心配してんのだろうか。そんで、害獣についても「ぼく、一日中いますんで、いつでも声かけてください」とか言うので、なんかおれはなにかの獣や隣の住人より、あんたの方がなにしてんのかちょっと気になるよって思ったんだけど、そこんところはスルーするのが大人の対応なんだろうから、おれはそうしたのだった。今のところ、なにか獣の音は聞こえない。