今期は観るものが絞れなくて困る

 『僕だけがいない街』なんかは漫画が評判で、なるほどアニメもおもしろい。主人公の子供時代の声が女の子にしか聴こえないのはやや気になるが(じゃあ誰がやればいいの? 田村少年?)、そんなのすぐに大人の声が相殺するからかまわん。今の記憶で小学生時代に帰れたらな、というほど小学生時代にいい思い出もないが、そういう気にもさせてくれようか。懐かしの昭和。おれは主人公の現在時よりもずいぶん年上になってしまっている。
 『紅殻のパンドラ』はというと、なにかこう士郎正宗のギャグどころを拾ってくれているな、という感じがする。とかいうおれも若き日に見た押井守の『攻殻機動隊』から入った口で、そのあとに『仙術超攻殻ORION』だの『ドミニオン』だの読んだ口なので、大きなことも小さなことも言えないけれど。時代もなにかこう、電脳過渡期みたいなあたりで興味深い。主人公が球体関節っぽいあたりも好もしいし、百合も好もしい。
 『GATE』は前期に続いて自衛隊ツエーの感じも嫌いじゃないし、なにかと丁寧な感じがすると思う。おれは好きだな。
 『昭和元禄落語心中』はというと、これはもう文句ないでしょ。おれは無知蒙昧にて落語のらの字も知らぬが、このアニメ面白いもん! というところ。実際の落語愛好家がどう観る(聞く)か知らんが、石田彰山寺宏一と、これぞ声優の凄み、というのを勝手に感じたりしている。オープニングテーマの林原めぐみもいいが、椎名林檎のセルフカバーも聴いてみたい。
 『Dimension W』は予備知識無しで見はじめたが、なかなかいい。それにラジオもいい。ずっと『ジョジョ』のラジオを聴いていた小野大輔に、『てさぐれ』で無双していた上田麗奈である。そして、ラジオで上田麗奈さんがわりとポンコツ? なのにちょっとショックを受けた。映画『ハーモニー』の人とは思えない。このあたり、どうしてくれようか。どうもしないが。
 『灰と幻想のグリムガル』は落合福嗣の話をしようか……とならないほどの作品である。落合のことなどどこかに行ってしまった。これはすごいことだ。異世界転移もの? なのだが、俺ツエー(Tなんとかって書くのめんどくせ)展開とは程遠く、ゴブリンに苦戦。そのあたりのなんだかリアルというか、ようわからんが、生々しさ、嫌いじゃない。背景なんかのクオリティもなんだかすごい。深夜アニメにそこまでいらんですから、とすら言いたくなる。
 『シュヴァルツェスマーケン』は関連作品をいっさい知らないで観ている。舞台が東ドイツで、どうもシュタージ、それもフェリックス・ジェルジンスキー衛兵連隊らしきものが出てきたからである。そのうえで「傾聴!」とか言われたら、ちょっと傾聴しちゃうのがおれである。
 『蒼の彼方のフォーリズム』は、なんか少女が脚のギミックで飛ぶ話である。そいだらどうでもええという気もするが、主人公が福圓美里なのだから困る。なにが困るって、福圓美里さんが飛ぶのに、観ないわけにいかないだろう、というストライクウィッチーズ脳の恐怖である。
 『この素晴らしい世界に祝福を!』は、なんだかわからんが、異世界で肉体労働をしているのが妙に面白いので、そのまま観つづけようかと思っている。脱落候補ではある。
 『亜人』は原作も知らないし、映画などのメディア展開なども知らない。ただ、アニメを観る限り……、これも先がわりと気になる感じはある。どういう方向に進むのか。『寄生獣』のような感じか。それとも。
 そんでもって『おそ松さん』あるし、どうしたものか。なにせ、上に挙げた以外にも3作くらい「これは観つづけよう」と思ってるのがある。この年度末の忙しい時期に。いずれにせよ、今期は豊作。一年分くらい、といったら言い過ぎだろうけど、そのくらいの質と量に感じている。