ペペロンチーノで腹壊す

タバスコ ペッパーソーズ 1ガロン 大容量

ここ何年のことかわからないが、辛いものが駄目になった。駄目になったといっても、舌はそれを許す。許すどころか、「辛いもの食いてえな」と思うくらいのものである。胃も許す。問題はそのあとである。そのあとで完全にアウトになる。おれは尾籠な話はあまりしたくないが、ともかくまあそういうことである。腹がゴロゴロ言って、そのあとは……言うまい。言いたくもない。

で、それはそうと、今日、昼飯にペペロンチーノを食った。そこまで辛いものってイメージはないでしょう。でも、輪切りになった小さな唐辛子があるでしょう。おれはそれをフォークで一つ一つ丁寧に皿の縁に並べて取り除いた。最初は五輪のマークのように、気づいたら草間彌生のなにかのように。マナーもなんもあったものか。

が、結局タイトルのようになってしまって驚愕しているというか、落胆しているというか、もうあかんなあと。調理段階で唐辛子から染みだした辛味成分でアウト、なのだ。すごい大盛りを食ったかといえばそんなことなく、少し少ないくらいかな、くらいのものだ。それでも腹を壊した。「ほかに腐ったものでも食ったんじゃないのか? 風邪かなにかじゃないのか?」という可能性もないではないが、いや、おれには解るんだ、これは辛いものを食ったときの症状だ、と。とくに唐辛子を食ったときの症状だ、と。

ああ、かなわんなあ。昔は何にでも、そう、パスタはもちろん、刺し身の醤油にも、味噌汁にもタバスコかけるタバスコ狂だったのに(味覚障害?)。なにかこう、腸のあたりで人生で食う唐辛子の許容量を超えちゃったのか。そんなもんないか。あるいはなんだろうね、腸が人間のメンタルヘルスにどうこうという話も出てきているようだし、メンタルをやってしまったことで腸が弱まったここ数年、なんて仮説もありかね。

でもまあ、はっきり言って、この腹のゴロゴロとその結果は仮説でもなんでもなく現実である。そしておれが今後、ペペロンチーノすら食えないというのも現実である。キムチとかも食えないだろう。健康にいいのか悪いのかわからんが、なんというか、少し悲しい話ではある。もちろん、重い病気でタンパク質制限しなきゃいけないとか、重篤な食物アレルギーがある人に比べりゃ大したことはない。そういう人を知っているので、そりゃあわかる。それでも、おれはおれでやっぱり少し悲しいのである。ああ、まったく、少しの悲しみだ。そんなものばかり増えていく。