二度目で最後の麺屋清星

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麺屋 清星 - 日ノ出町/担々麺 [食べログ]

京急の日の出町駅から中央図書館に登る坂の途中にその店はある。麺屋清星である。ここには前にもラーメン屋があって、「ラーメン屋ができたな」と思ったら、「ラーメン屋なくなったな」ということになっていた。そして、「またラーメン屋できたな」と思ってできたのが麺屋清星である。

担々麺を売りにした店である。おれは辛いものが好きである。しかし、おれの内臓は辛いものを好まない。

ペペロンチーノで腹壊す - 関内関外日記

ペペロンチーノの小さな唐辛子の輪っかで腹を壊すほど、おれは辛さに弱くなっている。

しかし、おれは、汁なし担々麺を食べてみたいと思って、開店してすぐのこの店に入った。美味しかった。しかし、案の定、腹を壊した。

人間というもの、味の記憶よりも身体の記憶の方が強いものなのであろう。それからも、図書館への坂を登るたびに「担々麺食べようかな。でも、お腹壊すしな」という葛藤を抱くようになった。抱きつつ、再訪することはなかった。

で、どうもこの店が撤退するという話を見た。すると、「最後に食べておくか」という気にもなる。鉄道趣味の世界には、廃線になると訪れる葬式鉄というものがあるらしいが、おれの行為もそれに近いだろうか。

というわけで、おれは、久々に麺屋清星を訪れた。訪れて、今度は「イチオシ」の汁あり担々麺、さらにパクチー追加を注文した。

やはり、美味しいのよな。舌の、ちょっと普段は感じないところを刺激するのは花椒だろうか。決して辛すぎず、心地よい刺激。そして、なんというか、本格的というとなにが本格かしらないおれには言えたものではないが、日常的に摂取している味ではないな、というところがある。やはりチェーン店的なものには得がたい味がある。スープに飽きがこない。たいへん、いいと思う。

おれより先に食べ終えた先客が、「この店、終わるんですか?」と聞いた。店主は「ええ……」、水曜日だったか、木曜日だったか、その日を告げた。やはり、閉店してしまうのだな。

おれもデザートの杏仁豆腐を食べおえて(ライスか杏仁豆腐か選べる)、店を出た。

小雨が降っていた。場外馬券売り場に行って東スポを買った(おれは前に「桜木町あたりでは駅のNewDaysが一番早いというようなことを書いたが、WINSの方が早いに決まっている)。馬券をすべてネットで買うようになって、場外周りを見るのも久しぶりだった。いくつか知らない店もある。中洲の煮干しラーメン屋はタピオカ屋になっていた。馬券オヤジはタピオカを買うのだろうか。

そのあと、ドンキでカップ焼きそばと泡盛を買った。自宅近くの薬局でティッシュを買った。おれの腹は急激に悲鳴を上げはじめ、おれは臨界点近くを味わった。なんとか間に合った。

おれは唐辛子に弱い。しかし麺屋清星の担々麺は美味しい。それだけは言っておく。