- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
- 発売日: 2010/04/16
- メディア: Blu-ray
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で、『ガタカ』観たが、手堅いな、堅牢だな、地道だな、けれん味がないな、地に足ついてるな、って思ったが。決して悪口じゃないが、さりとておれの中で特別の地位を占める作品ではないな、という印象。もっとハッタリがあってもいいし、キメがあってもいいし、おっぱいが六つあってもいいし、二つで十分だと忠告するスシマスターがいてもいい。そうところがある。PKD的なところに落ち込んでいってもいいし、ちょっとは派手なアクションがあってもいいかもしれない。サイエンス・フィクション・ダブル・フィーチャー。
でも、ないのがいいところなんだ。せいぜい中身が近未来的であろうクラシック・カーとかそのあたりがあるくらいで抑えている。その抑えっぷりがいい。その抑制の効いたところが、SF映画のなんらかのベストなリストに入ってくる理由なんだろう。そうだ、悪くない。昨年映画館で観たいくつかのSF映画に比べりゃずっといい。よく噛み締めて食え。そういう映画かもしれない。
噛み締めてみると……そう遠くない近未来の味がする、かもしれない。人間のどれだけが遺伝によって決まるのか。社会の中でどれだけ遺伝によってその立場が決定されれるのか。その社会はユートピアかディストピアか。アニメ『サイコパス』がやや抑制を欠いて描きすぎている社会に通じるものがある。いや、SFはずっとそんなことを考えてきた。もちろん、学者だって考えているだろうけれども。
おれはどう思う。おれは遺伝によって出産前の選別が行われるべきだと思うし、生まれ持った適性は解読されるべきだし、統計かなにかに従って社会の居場所に振り分けられるべきだと思う。おれのように、重すぎもなく、かといって生きづらさを十分に感じる程度の精神疾患を持ってしまった人間、中年になっていまだに自分のいるべき場所にいると感じられない人間、敗北者、失敗者、そういうところから見ると、この世はもっと機械的に振り分けられるべきだとしか思えない。不幸をこれ以上増やしてはいけない。……さて、『ガタカ』で不幸だったのはだれだったのかな?
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