カテエ……! 原田久仁信『劇画プロレス地獄変』を読む

劇画 プロレス地獄変

劇画 プロレス地獄変

 「カ……カテエ……!! まるで溶岩石のように凝り固まった長州のアタマ!」で有名な『プロレス地獄変』を買って読んだ。とはいえ、おれはK-1ブームあたりから格闘技を見はじめて、その後にちょっと総合格闘技と絡みのあったプロレスにちょっとだけ興味を持った人間だ。この劇画に描かれている表も裏も知らんといっていい。出てくる人物の名前にだいたい聞き覚えがあるくらいのものだ。というか、渕の話で岩釣兼生とか出てくるし!(→『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を読む、べし! - 関内関外日記(跡地)
 とはいえ、これは読ませる。この妙な味わいはなんともいえない。とくに各話の終わりがいい。スッと何らかの余韻を残して終わる。これは癖になる。たまらん。
 たまらんといえば、内外タイムスの終わりが描かれているのがよかった。内外タイムス倒産!「ゴマシオ百年の孤独」である。

 なぜかといえば、おれは内外タイムスの読者だったからである。競馬欄目当てであったが、おれは内外タイムスを買っていた。東スポに寝返ったとはいえ、内外タイムスを毎週末買っていた人間だからだ。


 リアルスポーツと名を変え、裏でそんなことになっていたとはなあ。なんか泣けてくるよ。そして、ガルシア=マルケスと焼酎の『百年の孤独』とを織り込んで、やっぱりスッとなんかの余韻を残して終わるんだよなあ。なんともいえねえなあ。悲しいなあ。でもいいなあ。
 というわけで、こいつは予想以上にすげえおもしろくて、いい劇画だった。これから「プロレススーパースター列伝」を読みはじめるかというと、そこまでじゃねえけど、いや、それでもこの『地獄変』はすげえよ、馬場元子さんは「デ……デケエッ!!」よ。いやはや、よくわかんねえけど、みんな読むべき。そう思った。おしまい!