『スターリングラード 史上最大の市街戦』をみる

 再生を始めていきなり日本語が聞こえてきたので、設定を誤ったのかと思った。が、場面は東日本大震災の日本から始まるのだ。想像もしていなかった。この国の災害がこのようにして使われるのか。ロシア語とドイツ語での会話が始まる。ロシア人の回想という形をとる。
 スターリングラード戦線で名誉の戦死。おれの世代はシュトロハイムである。シュトロハイムですら死ぬのがスターリングラード戦線である。史上最大の「市街戦」であることは確かかもしれない。
 とはいえロシア映画である本作、ヴァシリ・ザイツェフと女の尻が印象的な米製『スターリングラード』に比べるとやはり、ロシア兵強し、督戦隊なし、ドイツ兵馬鹿の印象はいくらか残る。いちいちスローモーションで表現されるロシア兵のスコップ殺人術など、雷電も知っているかもしれないガン・カタの使い手といえるかもしれない。戦争映画、ないしは独ソ戦映画マニアにとっては、あのナチの俳優が、とか、この戦車が、とかいろいろあるかもしれぬが、中途半端なおれにとってはとくになんというかこれというものもなかった。『プライベート・ライアン』以降のクオリティはある戦争映画とは言えるだろうが。これならば、ニキータ・ミハルコフの三部作の方が印象に残る。
 そういえば、スターリンヒトラーパウルスも出てこない。なにやら残虐で貴族趣味のナチのそこそこの高官が出てくるくらいである。まあ、出てくればいいという話ではないのだけれど、なにやら上の上の方の愚かさに左右される大衆の姿というものもない。想像しろと言われればそうやもしれぬ。だが、まあ、うーん、そこそこの、並の映画という印象というところからは踏み出さない。あんまり吹っ切れる題材でもないんだろうが、アクションにしろ、人間ドラマにしろ、なにか一発ぶっ放して欲しかったというところはある。おしまい。
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