こんな記事があった。
過酷な労働のために「躁うつ病」を発症して退職したところ、会社から約1200万円の損害賠償を求める訴訟を起こされて精神的苦痛を受けたとして、IT企業で働いていた20代男性が、会社を相手取って、損害賠償を求めた裁判の判決が3月30日、横浜地裁であった。横浜地裁は、会社側の請求をすべて棄却。男性に対して110万円を支払うよう命じた。
ふむふむ、おれも双極性障害(躁うつ病)だ。ひどい話だ。と、同じ裁判についての記事が毎日新聞にもあった。
http://mainichi.jp/articles/20170331/k00/00m/040/167000c
IT会社がうつ病で退職した元社員の男性(28)を相手取り約1270万円の損害賠償を求めた訴訟で
おい、どっちなんだよ。おそらく、わざわざ「躁うつ病」と書いてある方が正しいとは思うが、いずれにせよ「(大)うつ病」と「双極性障害」は区別してくれ。なにせ、双極性障害の抑うつ状態に単極性うつ病用の薬を用いても効果がないんだ。まだ病気の機序とかがはっきりわかっていない病気とはいえ、そこんところ注目しただけでも別物だろう。そして、一緒くたにされては、当事者としてやや困惑というわけだ。えーと、手元にいい本がないから信頼のおける(?)Wikipedia先生から引用する。
単極性の大鬱病と似ている病気と思われがちだが、実際は全く違う病気・障害であることが分かっている。また似た症状が出ていても、発病のメカニズムや治療に使われる薬は全く異なる。同じ気分障害であるものの、全く違う病気である。Ⅰ型とⅡ型の二つがある。
そりゃまあ、2型で、ほとんどのあいだふさぎがちなおれのような人間を見て、「うつ病なのかな?」と周りの人間が思ってしまうのはしかたない。べつに飲んでる薬がイフェクサーかジプレキサかなんて当人以外変わりゃしない。けど、ちょっとというか、まったく違うんだ、今のところ。そのあたり、毎日新聞さん、しっかり記事にしてくれ。新聞社だろ。べつにいちいち双極性障害の説明にアキスカルやクレペリンを持ち出せと言ってるわけじゃない。「躁うつ病? 広義のうつ病かな」とか「抑うつ状態? =うつ病かな」とか判断したりして、勝手に「躁」を取らんでくれ。そういうことだ。あまり当事者であるおれが言うのもなんだが、もしもこの社員が躁状態で会社でなにかやってしまったのなら、など、事情や背景が少し変わってくる面もありうるのだし(いずれにせよおれはこの判決を支持するけど)。以上。
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