すごく高級そうな個人タクシーのカー

自動車知らずのおれですら「おっ」と思うようなビシッとしたタクシーを見ることがある。例外なく個人タクシーだ。タクシー会社に属するクラウンなんとかじゃあない。本当に素晴らしいであろうセダンだ。

おれは勝手に妄想する。そういう個人タクシーを駆っているのは、もうなにか働く必要のないくらいの資産がある人間なのではないか、と。むろん、苦労して手に入れた高級カーである可能性は否定しない。しかし、そういう金持ちがいてもおかしくないんじゃないか、と。

というのも、おれが宝くじか何かで大金もちになったとき、それは「あり」だと思うからだ。とくに何もしなくても生活には困らない。かといって何かすることもない。そんなとき、高級なカーに乗って1日ドライブをして楽しむ。悪くない。本当は稼ぐ必要なんてないのに、お客を乗せて適当な話をしてお金を貰う。悪くない。

勝手な妄想だ。個人タクシーの資格を得るのは大変だろうし、嫌な思いをすることもあるだろう。ただ、なにかバリッとした個人タクシーの高級そうなカーを見るたびに、おれの意識は大金持ちになった妄想のおれに飛ぶのは確かだ。妄想のおれへの運賃は無料だ。