いま、大きな台風来ていますね。台風になると「風速40mです」とかニュースで放送されますよね。みなさん、あれって何が40mなのか知ってますか?
実はあれ、田んぼの様子を見に行ったおじいさんが、風で何メートル飛ぶかを測ったものなんです。田んぼの近くの家をノックする音がします。はて、こんな天気の日になんだろう? おじいさんが「はーい」というと、「市役所の者です。避難についてのお知らせでーす」と外から声がする。おじいさん、とりあえず引き戸を開けます。すると、屈強な男が二人がかりでおじいさんを取り押さえるのです。
「な、なんじゃ!?」
時すでに遅し、おじいさんは暴風吹きすさぶ外に引きずり出されてしまいます。それに気づいたおばあさんが「なにをするんですか!?」と言っても、「黙って屋根の瓦でも押さえてろ!」と言われるばかりです。
男たちはおじいさんに「冥土の土産に田んぼの様子でも見ておけ!」というと、すぐに目隠しをしてライトバンに押し込みます。
車に乗ること数十分。「着いたぞ」という声とともに目隠しが外されます。そこは気象庁の所管するグラウンド。すでに雨具で身を固めた職員たちが待ち構えています。
「よし、始点に固定!」
おじいさんは棒に特殊な装置で固定されます。
「3、2、1、解放!」
その声とともにおじいさんは固定具が外され、強風で飛んでいってしまいます。
グシャッという音とともに、おじいさんは地面に叩きつけられます。即座に測量係が声を張り上げます。
「40.5メートル!」
「40.5メートル、かっくにーん! よろーし!」
ただちに情報は気象庁中枢に集められます。
「これはどうしますか?」とおじいさんの亡骸を指差して測量係。「田んぼの川にでも捨てておけ」と上役。
こうして、今日も田んぼの様子を見に行ったおじいさんが亡くなり、私たちに正しい風速が伝えられるのですね。
次は雨量が○○mmというのはどういう意味か皆さんに説明しようと思います。避難指示などに従って、安全にすごしてくださいね。
……ん? こんな時間にノックの音が。
(ブログはここで終わっている)