大道芸の前に
おそらくαマウントで一番安く出回っているのではないかと思われる、SIGMA 28-80mm f3.5-5.6 MACROを1500円くらいで入手した。レンズフードがついていなかったが、世の中レンズフードなしおじさんおばさんもたくさんいるので、おれもレンズフードなしのままぶら下げていった。結果として、レンズフードのありがたみを知った。おれの古いミノルタのレンズについてるフードが、これに装着できればいいのだけれど。というわけで、ヘボ撮影者がヘボカメラでヘボレンズを使って、しかもレンズフードなしでなんか白みがかってる、という結果になった。いや、白いのはアップしてないけど。
野毛大道芸初日(2018年4月21日土曜日)
さて、正直なところおれは野毛大道芸にそれほど興味がない。桜木町の場外馬券売り場に通っていたころからそうで、「なんかやってるな」くらいに思っていた。
野毛の大道芸だから、というわけでもなく、あまり「大道芸」の類に心惹かれないタイプなのである。その技術、すごいとは思うけれど……。
でも、今年は「行ってかわりに見てこい」という指令を受けた。女からである。なんでも、リオ・パラリンピックの閉会式だかに出た車椅子のダンサーが初登場するという。
「紅白で平井堅の歌で踊ってたひとですか?」「違う人だ」。
↑天海祐希に積極的に喧嘩を売っていくスタイル。……それはそうと、図書館ついでにパンフレットを入手。目当てのダンサーは土曜には出ず、日曜のみのようだ。
代わりに見て、写真を撮ったところで……と思ったので、日曜はどうしようか、休もうかと思った。
安アパートで酒でも飲んで競馬して、本でも読もう、そう思ったのだ。
とか思っていたら、女からメールが来て「やはり行くことにしたので行こう」。「あっはい」。
野毛大道芸初日(2018年4月22日日曜日)
というわけで野毛ちかみち。電車で来た。
写真が暗いな……。お目当ての人は新聞記事にもなっていた(神奈川新聞)ので、人がすごいかもしれない。早めに行こうということになった。お目当ての会場(会場いうても、ちぇるる野毛の角の、三幸園の斜向かいの小公園に行く。行くとすでに別の大道芸人のステージが始まっていた。
立方体を使って、昇ったり、ロープをかけたり、周りながら降りたり、パントマイムをしたり、いろいろである。すごい筋力と思う。しかし、筋力を感じさせない。それはさらにすごい筋力だ(もちろん筋力だけでアクロバットなどできないだろうけれど)。今、パンフレットを確かめたらKanauknotというユニットで、女性の方は元体操日本一とか書いてある。道理で。
そして、目的のダンスユニットO.F.F.(かんばらけんた)登場。……の前に、先程のユニットの立方体をどこにどかすかということでスタッフと演者が相談。なるほど、前日はこの場所で別の演者と二組で回していたから、スペースの問題が出てきたのだろう。シートを移動して客がズルズルと後ろに下がって場所を作る。こういうのも大道芸らしさだろうか。
して、かんばらけんたさん。両腕の力で身体を持ち上げるのはもちろん、畳んだ車椅子にも仕掛けがあり(たぶん)、上に乗って回ったり、車輪を取り外して回したりもする。
TITANIUMの文字が眩しい。……と、今またパンフレットを読んだら、YAMAHAのパフォーマンス専用車椅子とある。道理で。
O.F.F.は3人組ユニット。演目を始めるまでの間を埋めるのに、慣れないトークに苦労していたけれど、ダンスは慣れたもの(当たり前か)。
テレビ局なども来ていた。フジテレビもテレビ朝日もスタチューを撮影していたし、なんか太陽からカメラをパンして、ということをやっていたので、この日の暑さの話題の一部、ということかもしれない。
あ、スタチューってこういうね。なんか神仏具店の看板と関係ありそうに見えますね、ええ。それで、お金を入れると動きます。
このスタチューはちょっと怖かった。
こちらがスタチュー日本一の看板を出していたアストロノーツ。通常姿勢も、「ロケット燃料費」を入れたときのリアクションも面白かった。
こちらは、えーと、O.F.F.のあとに手品を演っていた人。なんか屋台でカレー売ってたので食ってて、ふと後ろを見たら人だかりができていた。隙間から奇跡的な1枚。
それで、もうひと組くらいしっかり見ようということで、タイミングがあったところで山本光洋のステージ(というか道路の一部分)へ。ところが、なにか機材トラブルでなかなか始まらない。音が出ないようだ。最近の大道芸は(というか、最近ではないかもしれないが)、iPodに予め演目ごとの音楽や効果音を録音しておいて、現場のスピーカーに繋げるというのが主流のようだ(と、この日何組か見かけて思った)。
この山本さんは「コメディマイム」ということで、パントマイムとコメディ、そして客いじり、犬いじりがお見事。なんだろうね、お客さんの中から「この人はノリが良さそう、ウケをとりそう」というのを見抜くのも大道芸人のスキルなんだろうね、たぶん。かといって、酔っ払って出来上がりすぎていてもいけない。おれなんかはもう、目を合わさないようにしてしまう選ばれない客に違いない。写真は、たまたま前にいた子が空気でっぽうで空き缶を飛ばした(飛ばされた)ところ。ナイスタイミング。
そんでダラダラと関内に向かって歩く。したら、福富町西公園で棒の上に乗っている人がいた。……って、おそらくPerformer SYO!さん? のラストみたい。パンフレットを見たら、2015年の大道芸世界チャンピオンらしい。見逃した。で、終わったところで、おひねりについてアナウンス。まだまだ日本に大道芸というものが根付いていないけど、これ一本で食べていくためにはこれ(指で長方形を作る)が必要です、お賽銭じゃないので10円とかはやめてください、ぼくの芸が10円になってしまうので、とのこと。
おひねりの相場、か。この日見た限りでは一家、一グループで1000円というのが相場だろうか? 1000円札を多く見た。そんなにジロジロ見ていないのでわからないが。1人1長方形というのは、なかなかに裕福ではないと出せないようにも思う。でも、やっぱり家族4人で4000円出してるのかな。短い時間に芸人のスキルが詰め込まれているものだし、そのくらい出すのが、人間としてのマナーというものだろうか。いまどき4家族を作れるとなるとそれなりに裕福なのだろうし、3ステージくらい見て1万と2000円。さらに屋台で何か飲食物買ってイベントに2万円くらい金落としていくのが常識だろうか。
……とか考えてしまうところ、実に貧乏人のおれが大道芸に心惹かれない部分であって、この日だってしっかり見た(そういえば最初から最後まで大道芸というものを見たのは人生で最初だったかもしれない。だいたい通り過ぎてたから)ものにはとうぜんおひねりを出したのだけれど、それが四角くて薄かったかというと……。大きめの小銭がせいぜいで……。それが大道芸人へのディスになっているとすれば悲しい話であって、そもそも目をそむけて通り過ぎるのが筋合いだったのだろう。おれだって無銭飲食まがいのことや他人への冒涜はしたくない。
というか、飲み屋で店にとって利益率のいいアルコールを頼まないのはマナー違反、とか、記されていないルール、金に関するルールって、なんかきついのよ、金がないと。なら、いっそのこと、食べ物の定価に利益が出るよう組み込んでくれ、ワンドリンク、ツードリンクが決まりだと明記してくれ、はっきりさせてくれ、と思ってしまうのだ。大道芸でそれは野暮なことなのだろうが、貧乏人ってのは野暮なもので、金も頭も回らない。野毛大道芸なんてのは、イベントなんだから、囲いを作って入場料を取って演者に配分、さらに個々のステージでおひねりボーナス、みたいな形にしてくれないだろうか。あとは、ベルギービールフェアみたいに、コイン購入という形で……って、ああ、書いていて野暮でダサい。ともかく貧乏というものは自らばかりでなく人を傷つける。
とかウジウジ考えながらイセザキモール。すごい怒鳴り声がしたので「お、喧嘩か?」とテンションが上がって近付いてみると、カトレヤプラザの前で芸人がコントをしていた。ご当地芸人の「横浜ヨコハマ」というコンビらしい。横浜地元ネタの途中と、もう一本見たのだけれど、大道芸についてウジウジしていたのをひととき忘れるくらいに面白かった。横浜ご当地ネタ、最初から見たかったな。……って、おれは生粋の横浜人ではないのだけれど。こちらはおひねりはなく、なぜかスタンプカードのサービスがあった。あと、とにかくSNSで広めてくれということだったので、微力ながらブログに載せる。でも、「横浜ヨコハマ」って名前、検索エンジン的にどうなのよ? などとも思った(……ってググって見たら、ズラッと当人たちが出てきたので問題ないようだ)。
その後、安い服屋によって、安い喫茶店でコーヒー飲んで帰った。ラジオでフローラステークス聞いたら、デムーロから買ってたおれ万馬券。週末トータルでピザの日(そういうものがあるのです)のピザ代が出た。そして日焼け止めを塗っていなかったので、日に焼けた。おしまい。