世界の終わりのコンビニエンス・ストアー

 

君は商品がなくなっていくコンビニを知っているだろうか。おれは知っている。ずいぶん昔に書いた。

goldhead.hatenablog.com

 

 コンビニはいつでも商品で溢れている。コンビニは富そのものだ。しかし、予告しないでなくなることもある。君はコンビニから物がなくなっても驚いてはいけない。君はコンビニがなくなっても、決して泣いてはいけない。

 

おれは二回、商品がなくなっていくコンビニを見てきた。一度目は藤沢で、二度目は横浜に越してきたあと、アパートの近くで。二度目については、徒歩圏内で引っ越ししているので、あのコンビニが存続していたら、もっと近かったのに、と思う。

 

ともかく、一番近いコンビニ、セブン-イレブンの商品が少なくなっている。一番近いとはいえ、ちょっと歩く。歩くのだが、会社からの帰り道にあるので、一番利用するコンビニだ。

 

そこの商品が、少なくなっている。わかるだろうか、なんかわからんが、減っている。東スポなどの新聞、雑誌は補充されている。ペットボトルや缶ビールなどの飲料も充填されている。が、それ以外が少ない。直近ではロックアイスを買おうとして(寒くなってもアル中には必要なのだ)、冷凍ケースが少しのアイスクリームとアイスコーヒー用の氷以外すっからかんになっていた。酒も少なくなっている。かつてはセブン-イレブンのワインをはじめ、けっこう充実していたのだが、いまや数本のアンデスキーパーが並ぶだけだ。焼酎やジンなどのハードリカーもない。日本酒もない。

 

ひょっとして、この店の店長はアルコールを嫌っているの? とか思ったこともあるが、それ以外の品薄もだんだん明確になってきた。惣菜類なども少なくなってきた。あ、これは、これは終わるコンビニだ、と思った。

 

が、思ってからもなかなか閉店しない。けっこうな期間だ。よくわからない。ひょっとして、おれが行く夕方~夜というタイミングでは売り切れてしまっているのかもしれない。でも、元町商店街に近いとはいえ、昼間に大量の客が訪れて冷凍食品をこれでもかと買い漁るのとは思えない。なんなんだ。

 

ひょっとしたら、オーナーか店を取り仕切る人が、最低限の仕入れで最大の利益を出す法則を編み出したのかもしれない。酒も冷凍食品も惣菜もいらない。無駄は生じさせない。最低限、これだけ仕入れれば儲けが出る。店にも環境にもよい。そのラインを見極めた。

 

……そんなことあるのかな。よくわからん。本当にわからん。このセブンより少しだけ遠いセブンに行けば、やはり見慣れたコンビニの光景がある。商品棚は埋まっているし、飽和状態である。「旧ソ連?」みたいな印象は絶対に抱かない。そして、おれはそのようなコンビニに行きたい。アンデスキーパー以外の安ワインを飲みたい。そう思う。そう思って、あのセブンから品物が減ってから、石川町駅近くのファミマを利用することも増えた。ファミマ限定というコノスルはおいしかった。

 

いずれにせよ、品物に溢れていないコンビニには違和感を覚える。しかし、それはSDGs的に誤りなのかもしれない。SDGsよくわからないけれど。ともかく、あのコンビニは「飽食の時代」に警鐘を鳴らしているのかもしれない。大量に廃棄される食糧のことを考えろ。24時間いつでもなんでも買えると思うな。この国の食料自給率を考えろ……。

 

でも、おれにはそんなお説教はいらない。品物が充実したコンビニがいい。コンビニで無駄遣いしないにせよ、選択肢があるほうがいい。それが地球を滅ぼすとなぜわからん、とシャアに言われようがそうである。店をたたむならたたむで、とっととやってほしい。べつのチェーンが入ってくれても大歓迎だ。どうにかしてくれ、セブン-イレブン石川町1丁目店。