「結婚している人が結婚していない人を見ている」ビルとナンシーとグレッグの結婚問題

ビルはナンシーを見ていて、ナンシーはグレッグを見ている。ビルは結婚している。グレッグは結婚していない。

このとき、「結婚している人が結婚していない人を見ている」という一文は正しいか? 

A.はい B.いいえ C.どちらとも決められない

ジョセフ・ヒース『啓蒙思想2.0』

 

 

啓蒙思想2.0』という本を読んでいたら、第一章の頭に、論理的な考え方の一例として上の問題が引用されていた。

さあ、あなたはどう考えますか? どう思いますか?

……

はい、答えはC……ではありません。

ヒントとして、ナンシーが結婚しているかどうかは関係ない、です。

なんで?

この場合、ナンシーが結婚しているパターンとナンシーが結婚しているパターンが考えられます。

  • ナンシーが結婚している場合→「結婚している人(ナンシー)が結婚していない人(グレッグ)を見ている」
  • ナンシーが結婚していない場合→「結婚している人(ビル)が結婚していない人(ナンシー)を見ている」

はい、これ以外にパターンは存在しません。というわけで、「結婚している人が結婚していない人を見ている」という一文は正しいのです。

というわけで、答えは「A.はい」です。

わかんねえよな。初見殺しだよな。Cとか、あるいはBとか思っちゃうよな。これが論理的な考え方の初歩の初歩なんだよな。これ、直感に反している感じがするよな。脳のシステム1で即座にAと答えられないよな。おれなんかはシステム2を使っても「くっ」となるぞ。

……というわけで、「啓蒙思想2.0」どころか、読み進めたところで、たまにこのページに戻っては、「うむ、ナンシーが結婚していようと、していないと、たしかにこの一文は正しい。成り立つ……しかし」などと思う。本題に入る前にひっかかってしまう。啓蒙への道(システム2という理性に対して、進化心理学行動経済学の範囲から、それもあてにならないぜって指摘に対し、それでも理性が重要なんだぜ、って話かと思うが。いや、ぜんぜんまだ読み始めたばかりなのでわからんけど)は遠い。

 

以上。