「われわれの眼は飛び出ていて、あまりまばたきもしないし、ゴミが入りやすい。それによる傷、感染症、不利益が多い。そういう意見が出ている」
「なるほど、そのとおりだ。それではわたしたちの一派は眼の表面に厚い膜をして保護するようにしよう」
「それでは解像度が落ちてしまうではないか。おれたちの一派はブリンカーのような器官を発達させるよ」
「まてまて、それじゃ後方の視界が悪くなって、狩られやすくなってしまう。眼はこのままでいこう。眼の負傷がもとで死ぬ個体が出ても、後方の警戒を優先し、事前察知からの逃走を重視しよう。なあに、沢山やられたとしても、そのぶん沢山産めばいいのだ」
そんな会議が行われ、ある一派は淘汰され、ある一派は生きのこりました。だから、ウサギの眼はあんなふうなのでした。
おしまい。