(Wikipediaより引用)
首なし鶏マイク(くびなしにわとりマイク、Mike the Headless Chicken、1945年4月 - 1947年3月)は、首をはねられた後も18か月間生存していたことで知られるアメリカの雄鶏である。
おれはたまに首なし鶏マイクのことを考える。そして、おれが首なし鶏マイクじゃないって誰が言えるんだ? と思う。おれには本当の頭がないのかもしれないし、なにか内臓の一部と筋肉の反応だけで生きているふりをしているのかもしれない。そう思えて仕方ない。餌を流し込まれ、なにか動いている。それだけの存在ではないのか、と。
それはおれだけの話だろうか。街ですれ違う人はどうだろうか。かれら、かのじょらは首なし鶏ではないのか? 自分の本当の頭で考えて、立って、歩いている人間がどれだけいるのだろうか。みんな首なし鶏じゃないのか? そう思えて仕方ないときがある。
おれたちは本当におれたちおのおのの頭で考えて、立ち、動き、なんらかの働きをしているのだろうか。なんらかの反応に過ぎないのではないのか。もしかしたら、そう思っているのはおれ自身についてだけで、他人を哲学的ゾンビと思っているのではないか。そんな思索に迷い込むと帰ってこれない。そして、グロテスクな首なし鶏のことを思い出す。
おれはおれを首なし鶏だと思いたくはないが、そうかもしれない。あんたはどうだろう。あんたは自分が首なし鶏だと思ったことはないか? 首なし鶏じゃないのか? そう、だれかに問いかけてみたくなるときもある。ミハイル・バクーニンは、自分の頭で考え、立っている人間が人類の中でどれだけいると言ったのだっけ。
おれは首なし鶏なのか?
おれは首なし鶏ではないのか?