謹呈 種村季弘様


 後藤明生について日記に書いたので、せっかくだから種村季弘についてもメモしておこう。自分にとって種村季弘といえば、どうしても「澁澤龍彦まわりの人物」ということになる。俺、ミーハーで澁澤から入ったわけだし、それはもう仕方ないじゃん、って感じ。思うに、澁澤龍彦は素晴らしいリンク集だ。そういえば、澁澤龍彦のテクストはハイパーリンク化する計画というやつを、ネットをはじめたばかりの頃に見かけた気がするが、どうなったのだろう。
 それはそうと種村季弘。やはり本屋などで見かけると「澁澤龍彦の話に出てくる人だな」ということで、『アナクロニズム』、『謎のカスパール・ハウザー』、それに翻訳物で『毛皮を着たヴィーナス』、ホフマンの『砂男』なんかを読んだものだ。
 澁澤、種村と来たら巖谷國士だな、ということになる。ここらあたりも、何事も澁澤から入った人間の単純な連想である。著書は『日本の不思議な宿』しか読んでいないが、ワルドベルグという人の『シュルレアリスム』、アンドレ・ブルトンの『シュルレアリスム宣言 溶ける魚』、ルネ・ドーマル『類推の山』(これは面白かったな。重大な欠点があって、それはもう残念なのだけれど、それでも好きだ、これは)、あと、マックス・エルンストの『百頭女』と『慈善週間または七大元素』もこの人だったか。この二冊はもちろん文庫版。大きい方がいいのだろうけど、小さく細かいコラージュを、寝っ転がってパラパラめくって楽しめるという点でちょっと愛すべきものだ。
 それにしてもなんだ、パッと古本を抜き出して、思いがけず変なリンクを踏んだものだ。やはり本屋は古本屋に限る。