さらば、マグナーテン

http://www.sponichi.co.jp/horseracing/kiji/2005/01/14/06.html

うちの厩舎の功労馬。

 マグナーテンは、遠い昔、私がまだPOGなどをやっているころに指名した馬でした。ダンチヒとマジックナイトの子。泣く子も黙るほどの良血です。舶来物に弱いミーハーの私は、血統を見ただけで即指名です(今ではもっと細かな状況がネットを通してわかるのでしょうが)。ところがこのマグナーテン、これまた泣く子も黙る藤沢厩舎に入ったのに、待てど暮らせどデビューしません。いつしかPOGなど昔の話になったころ、ようやく名前を見かけるようになりました。セン馬として。
 これには腰を抜かすほど驚いたものです。だって、ダンチヒとマジックナイトの子ですよ? 四戦〇勝くらいでも種牡馬入りできたかもしれない。しかし、敢えて玉を抜いた。玉を抜いて戦った。その結果が重賞四勝、獲得賞金四億円以上。見事な話ではありませんか。
 こんな風に書くと、私はマグナーテンが好きだったように自分でも見えてきますが、決してそうではない。むしろ、「距離適性はわかんねぇし、実力もよくわかんねぇな」という感じで、馬券的に相性が悪く、好印象はあまりありませんでした。しかし、引退するに当たって、よく走ったものだと思います。それに、「功労馬」として頑張ったのでしょう。
 いつだったか、藤沢調教師が口取り写真に収まらない理由として、「自分が管理する馬の中にはけいこ台になって潰れる馬もいるのに、勝ち馬の時だけ勝利を誇る気にはならない」というようなことを挙げていました。口取りについては去年の有馬記念で解禁(?)になったのは周知の通りですが、「けいこ台」を率直に認めるのには驚きました。もちろん、強い馬の調教パートナーとして実力をつける馬もいるでしょう。たしか、シンボリルドルフシリウスシンボリなどがそうだったでしょうか。しかし、そうでなく、消耗させる場合もある。
 もちろん、マグナーテンがけいこ台だったかどうかは知りません。むしろ、自身が十分に実力馬であり、実績馬です(マグナーテンも脚やってたっけ?)。しかし、ペースメーカーのような形で何走かしたように見えたのも確かです。そんな意味を込めての「功労馬」なのではないかと勝手に想像した次第です。
 と、いうことで、私の中でマグナーテンのイメージが固まりました。どうにも掴み所がない感じだったんだよな、この馬。いや、掴み所というか、イメージしていたのと違うところに滑っていって、結局最後まで掴めなかった、掴もうとしなかったのかもしれない。玉を抜くような馬が乗馬になれるかどうかは知らないけれど、まあ、肉にはならないで済むんじゃないかな。それはそれで良かったよ。うん。