藤岡康太騎手が死去 35歳 6日に落馬、意識戻らず G1・2勝、JRA通算803勝 | 競馬ニュース - netkeiba
JRAは11日、6日の阪神競馬7Rで落馬負傷した藤岡康太騎手=栗東・フリー=が10日午後7時49分に死去したと発表した。35歳だった。落馬後は意識不明の状態が続き、入院加療していた。
藤岡康太騎手が落馬事故で死去した。自分が藤岡康太騎手が危ないと知ったのは、兄の藤岡佑介騎手の記事が出てからだった。土曜、日曜の競馬、最終レースが終わると、だいたいは「ああ、今日も負けたな」と思っておしまいにしてしまう。その日起きた事故のことなどあまり気にしない。テレビ中継で見た派手な落馬などは事情を追うかもしれないが、そうでない場合、あまり気にしない。
気にしなくなってしまっている。それだけ、競馬に落馬はつきものだ。競馬中継で「乗り替わり」の情報が出ていても、誰が誰に乗りかわるのかが気になって、誰がどうしたというところまで、いちいち気にしない。
長いこと競馬ファンをやっていると、感覚が麻痺してしまう。馬も死ぬ、人も死ぬ。それでも、この間、高知で塚本雄大騎手亡くなったなどと知ると、やはり危ない仕事なのだなと思う。中継を見ていてルメールが落ちたときも、危ないんじゃないかと思った。思ったが、ルメールは鎖骨、肋骨骨折、折れた骨が肺に刺さった「だけ」で済んでしまった。
ちょっと打ちどころが悪ければ、ちょっと後ろに馬がいたら……。紙一重に過ぎない。それでも、騎手はめったに亡くならない。藤井勘一郎騎手のように半身不随になる例も少ない。危ない職業。命をかけて馬に乗っている。500kg近い馬が60km/hで走ってきて、踏まれてしまう。これ以上の防具があるのかどうか、おれにはわからない。
いずれ世界中で競馬は廃止されるだろう。いつの日か。
それでも自分たちはそれに金を賭けている。今週末も賭けるだろう。馬が死ぬかもしれないし、人すら死ぬかもしれない。それでも、自分たちは馬が走るのを見るだろう。人を乗せて馬が走るのを見るだろう。
騎手は騎手として、馬乗りに命をかけて、栄光を目指してゴールを目指す。若くして死んだ藤岡康太騎手に、その栄光と喜びがあったことを祈りたい。
2018年12月9日阪神2Rタイセイドレッサー号鞍上藤岡康太