神奈川県のアイデンティティ

 私は生まれは北海道だけれど、物心ついたときからの神奈川県民だ。去年、鎌倉市から横浜市に引っ越したけれど、神奈川県であることに変わりはない。しかし、だ。今まで一切、神奈川という県に愛着を持ったことはないのである。
 俺は鎌倉が好きだったし、今でも好きだ。横浜も好きだ。まだ横浜市民という自覚はないけれど、そのうちそうなるだろう。生活圏にあった藤沢市も好きだし、学校があった逗子市も好きだ。どちらも地元という気がする。なのに、神奈川と見てしまうと、さて途端にイメージが湧かなくなる。そう、神奈川県民には「神奈川」という確固としたイメージが無いのではないか、と思う。
 それはおそらく、各市町村のキャラが立っているからではないかというのが持論だ。海の方では横浜、横須賀、川崎、鎌倉、葉山、あと、なんか山の方、山北とか寒川とか、そういう感じで、統一性がない。海の方といっても、湘南と横浜では色合いが違う。
 しかしまあ、こんなのも神奈川県しか知らない私の偏見に過ぎないかもしれない。それぞれの都道府県に住む人しかわからない、そういった市町村や地域差ってのはあるだろう。たとえ私が端から見て「山ばっかりだな」とか「砂丘ばっかりだろ」とか「みかん」とか思うようなところでも、きっとそうに違いない。