底抜け蔵書について

http://www.zakzak.co.jp/top/2005_02/t2005020801.html

雑誌などについて、男性は「捨てていい」としょんぼりしているという。

 溜め込んだ雑誌の重みでアパートの床が抜けたという事故の詳細。この役人氏が果たしてオタ的コレクターだったのか、単なるゴミ屋敷系住人なのか未だによくわからないけれど、俺が気になるのは雑誌たちの先行きだ。中に値段のつくお宝があるかどうかは知らないけれど、俺はある程度古い本、新聞、雑誌が捨てられるのを、直観的にもったいないと思う。ただそれだけだ。去年の今ごろ哀れ我が実家は売却の憂き目にあったけれど、その時もエライ数の行き場のない蔵書が出た。雑誌、漫画、文庫本……、相当な数にのぼったのは確かだ。それらの一部は俺と父がそれぞれピックアップして助けられたし、知人や親戚にあげたりもした。しかし、合併球団のウェーバーでもあるまい、大部分は行き場なく廃棄された。それらは我々が不要と判断したものだ。それでも、文字の書かれたものが処分されるのは悲しい。
 俺はありとあらゆる蔵書が収められたというアレクサンドリアの大図書館を夢想する。その破壊とともに飛び散った図書館の夢は、ある種の人間に取り憑いて、今なお蔵書を増やし続けているのだ。俺はこの世の栄華を望めぬ類の人間ではあるけれど、せめてそのささやかな一部でありたいと思う。