披露山ハイキングコース

 不如帰と刻まれた海面の碑。その近くから披露山ハイキングコースが始まる。未舗装の泥濘、鬱蒼とした森。どこへ流れるのかせせらぎと、木の板が粗雑に置かれただけの橋。俺は一瞬のうちにこの場の記憶が甦り、めまいを覚えた。逗子駅から商店街を抜けるときも、我が懷かしの学舎を見たときも、いっさいそんな感覚はなかった。ただ、森だけがそのままでありすぎた。それはちょっとした衝撃だったと思うね。