福島女子刑務所はウイグル獄長の夢を見るか?

 サッカーの試合をビールみたいなものを飲みながら観戦して、いよいよ試合が終わるのを待って俺は眠りこけてしまった。目を覚ますと同じ局の報道ステーションで、女子刑務所の短いドキュメンタリをやっていた。俺は「刑務所の中」の話がなぜか好きで、これもじっくり見てしまった。それに、メーンに据えられた新人女子刑務官がちょっとツボであった。「女の子をエッチの対象として見ないでください」と言われそうだが、勘弁して欲しい。

 制服を着ることによって、人間としての個性が消え、一般概念としてのエロティックな魅力が輝き出す。それがユニフォームとういものの秘密であろう。
 制服の秘密はそればかりではあるまい。とくに婦人将校や婦人警官のミリタリー・ルックは、彼女たちのアマゾーンとしての魅力を引き出すのに役立つだろう。

 と、澁澤龍彦御大も仰っているではないか(「制服、そのエロティックな秘密」…『夢のある部屋』収録)。いや、エッチの対象としてみたわけじゃないですよ。何かりりしくて好もしいなぁ、と。というわけで(どういうわけか)女性刑務官である。女子刑務所というと地獄の女囚コマンドと女囚さそりが上を下への大騷動というイメージが一般的だろうが、見逃していけないのは刑務官。これ、間違いない。そして、昨日取り上げられていた新人刑務官の彼女は、十八歳の進路を選ぶとき、どうしてこの道を選んだのか、その内面に迫って欲しかった。私生活がどんな感じなのかも迫って欲しかった。いや、そこらへんは保安上よろしくないな。それに、隙を見せてはいけない。ましてや囚人とデキてはいけない(http://www.zakzak.co.jp/top/2005_08/t2005081019.html←この場合は拘置所での出会いなので、刑務官と囚人ではないけれど)。まあ、昨日の彼女は真面目そうで意志が固そうに見受けられたので、そんな心配は余計だ。
 ところで、入所時の持ち物検査の場面で、歯ブラシセットだかなんだかが出てきて、俺は剃毛のことを思い出した。これは突飛なエロ話ではなくて、何かそういう場面を見たか読んだした記憶だ。要するに、囚人に剃刀を持たせるのは危険なことなので、女性刑務官の目の前でむだ毛の処理をしなければならないのだ。俺はそれを見るか読むかして、なるほど、実にリアリティがある、と思ったものだ。そして、昨日これを思い出して後悔した。俺が何を見たのか、読んだのか思い出せそうにないし、検索できそうにないからだ。……が、そのとき俺は閃いた。『17歳のカルテ』ではなかったか? そうだ、そうに違いない。俺は面倒なので、そうすることにした。
 ……しかし、ネットを前にすると調べずにはおれない。いろいろ馬鹿馬鹿しい検索語で検索したが、出てはこない。そこで、大元の公式サイトを見てみる(http://www.sonypictures.jp/archive/movie/karte17/)。すると、「部屋は数分おきに安全確認のためにチェックされ、入浴のときにすら監視がつく。」の一文がストーリーのところにあるじゃないですか。きっとこれだ、そうにちがいない。刑務所と医療施設じゃ根本的に大違いだろう、という重大なことはどこかに置いておいて、後はPetula Clarkの'Downtown'でも聴いて忘れてしまおう。