総選挙雑感

 ワインなど買って選挙観戦をした。もっとも、午後八時の段階で戦は終わっており、結果発表と試合後のインタビューを見た、というのが正しいかもしれない。眠くなるまで頑張って見たので、政治のことなどよくわからないくせに感想をメモしておく。

自民党
ふたを開ければびっくりの大勝利。どこのテレビ局で最初に目にしたか、三百越えに目を疑い各局巡ったものだ(結果は三百に届かなかったが)。自民勝利はよく予想されていたことであったが、ここまで差がつくとは驚いた。造反組を切り離して敵に据え、民主党まで丸飲みにしてしまうという計略、まさに現代の「二虎競食」か「駆虎呑狼」かという神業。小泉純一郎の政策が後にどう評価されるかはわからないが、政争と選挙の強さについては、今後百年語り継がれてもおかしくはないと思われる。 ☆☆☆☆
民主党
ふたを開けてみれば、政権交代どころか「確かな野党が必要です」レベルの大惨敗。小沢一郎が常々言ってきた地道な基盤作りもできていなかったのだろうが、やはり戦略もアピールも、あるいは政策そのものにも難があったか。そして、岡田克也代表のキャラクタにも辛いものがあった。敗戦の弁もロボットのように政策について繰り返すばかりで、敗戦の将としての雰囲気ではない。人の情を揺さぶるものが欠けているように思われる。政治にそんなものは必要ないかもしれないが、政治家には必要なような気はするのだ。 ☆☆☆☆
公明党
自民単独過半数で影響力を失うのか、あるいはそれを下支えしたことによって変わらず影響力を維持するのか。学会の協力で当選した議員それぞれにとっては死活問題なので、簡単には切り離せないようにも思われる。ひょっとするとこの党が、かつての自民党の力でもあった多様性と弾力性の材料になりうるかもしれない。しかし、そのバックボーンを疑問視する声も決して少なくないはずだ。 ☆☆☆☆
共産党
選挙前の討論番組で、「党名を変えないのか」という視聴者からの疑問に、志井委員長は「いつの日か資本主義の次の時代が来るかもしれない。だから変えない」と言い、そのロマンティシズムを口にしていた。そして、その表情はまさにロマンチスト。もっと夢見るロマンを全面に押し出してみたらどうか。……などと無責任なことを思ったものだ。 ☆☆☆☆
社民党
比例名簿下位という緩やかな自殺で土井たか子が政界を後にした。後は福島瑞穂辻元清美らが継ぐのか。そして、内容面も辻元が言うような括弧付きの「市民運動」、草の根タイプの政党になっていくのか。どうでもいいことだが、「社民党はオムライス」という能天気な声はなぜか頭にこびりつく。やめてください。 ☆☆☆☆
国民新党
ホリエモンと熾烈な戦いを繰り広げる亀井静香のテレビ出演は見物だった。TBSだったか、安倍晋三との直接対決などは見ていてなぜだかハラハラした。そして、‘太陽の顔’綿貫民輔。彼のような政治家が、国民に向けて直接何かを訴えかける(ハメになった)。そんなことは、こうでもなければ無かったろう。無論、彼にとっては望ましいことじゃないだろうが、みんなこっち向いて何か言った方が面白いよ。 ☆☆☆☆
新党日本
小林興起の大惨敗が印象的で、尚かつ「落ち武者狩り」も喰らいそうで悲惨。地元や地盤というものが、個人によらず党によるものだということだろうか。もちろん、新党や無所属で戦って勝つ奴は勝つ。ただ、有利と見られながら自民党のいわゆる刺客に負けた人も少なくない(…と、事前の出馬表と答え合わせしながら思った)。それにしても、田中康夫はひょこひょこ出てきて、美味しいところを持っていって帰ってしまったというような感じ。党首といっても、失うものないもんな。 ☆☆☆☆
新党大地
鈴木宗男が政界復帰を決めた。鈴木宗男といえば、以前も触れた(id:goldhead:20050602#p1、id:goldhead:20050816#p2)が、ワイドショーでネタになった以外の面もある人だとは思う。とはいえ、一人で政界に帰って何ができるのかは疑問だ。また、自民党の内幕をぶちまけるタイプの人でも無かろう。今朝の選挙番組では、かつての人脈があるとは言っていたけれど(あと、「ハイエク」言ってた)。ところで、宗男本人より気になったのは、娘の鈴木貴子さん。選挙演説の様子など見るに、なんと見事なものだろうと思っていたが、今朝の選挙番組に出ているのも見て舌を巻いてしまった。受け答えの態度から、答えの内容まで、実に堂に入ったもので、頭の回転の鋭さを感じずにはいられない。それでいて出過ぎたところもなく、これだけの「二世」などそうはいないのではないか。これで十九歳、選挙権もないというのだから驚きだ。モニタのこちらで福岡政行などが今後に興味津々というのも当然で、ナチュラル・ボーン・政治家(politician or stateman?)と言っていいだろう。果たして親は世襲に批判的なので政治家にはさせないというが、どうなることやら注目だ。 翌日追記:選挙権もないが、選挙運動をする権利もないという話があるようだ。公職選挙法http://www.houko.com/00/01/S25/100B.HTM#s13)の第137条の2「未成年者の選挙運動の禁止」だろうか。これもどうなることか注目だ。 ☆☆☆☆
堀江貴文
この人は万が一当選しちゃったらどうするんだろう? 本人が一番困るんじゃないの? ……と見ていた人は少なくないのではなかろうか。少なくとも、俺はそう思ってた。けれど、選挙後のインタビューなどを見ていると、本当に次も出てくるんじゃないかとか思った。選挙運動して、わーっと人が集まってきて、ホリエコールなんて起きたりして、大人数を前に声張り上げたりして、そこらあたりの魅力に取りつかれたんじゃないのかな、とか。しかしこの人、回遊魚じゃないけれど、泳がないことには続かない人にも見えるので、ほっといても何か勝手にやりだすだろう。そこらへんの市長選に出たりとか。