2021年 衆議院選挙の感想

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2021年10月31日、衆議院選挙があった。おれは投票に行った。シャワーを浴びて白いワイシャツを着た。母方の祖父の形見分けでもらった背広を着た。下はタイトなデニム。お気に入りのピアス。白いマスク。雨が降りそうだった。少し、降っていた。傘をさす人も見たが、ささない人もいた。おれは傘を持たずに出てしまって、それでも投票所がすぐそこなのでそのまま行った。

おれは投票行動をした。

おれは投票行動を聞かれた。

出口調査。おれは今まで出口調査を受けたことがあったろうか。あったような気もするが、ないような気もする。よく覚えていない。あったとしたら、タブレットを渡された、ということもないだろう。だったら、口頭で答えたのだろうか。やはりおれは出口調査を受けたことがあったかどうか思い出せない。

いま、午後10時を過ぎたところだ。

おれの小選挙区の結果は出た。出たといっても、出口調査の結果だ。おれのような人間たちから集計された結果だ。ただ、いろいろのところを見てもこのような結果なので、このような結果なのだろうと思う。

衆院選神奈川1区 無所属・松本氏の落選が確実に 衆院選2021 | カナロコ by 神奈川新聞

はい、神奈川一区、銀座三兄弟の長男、名目離党中の自民候補、松本純落選。すぐに確定。今回は無所属出馬なので比例復活もなし。国会からさようなら。

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いやあ、松本純落選するもんだね。おれは横浜に来て二十年くらいになるけれど、ずっと松本純だったような気がする。やっぱりあの不祥事があって、自民党離党すると落ちるもんだな、とちょっと意外な気持ちにすらなっている。

おれは誰に投票したのか。横浜市民のカジノ反対の署名を流用して自らの選挙活動に利用したと報道された篠原豪である。おれはとくにカジノ反対ではなかったのでカジノ反対署名に名前と住所を記すことがなかったので、篠原豪からお礼状が来ることもなかったのだけれど、実質自民党麻生太郎の子飼いも嫌だし、維新も嫌だったので、仕方なく横浜市民のカジノ反対の署名を流用して自らの選挙活動に利用したと報道された篠原豪に入れた。カジノ反対の署名を流用して自らの選挙活動に利用したと報道された立候補者に投票することに抵抗がなかったわけでもないけれど、カジノ反対の署名を流用して自らの選挙活動に利用すること以上に実質自民党で銀座で飲み歩いていた人間と、日本維新の会の人間に投票するのは嫌だったので、カジノ反対の署名を流用して自らの選挙活動に利用したと報道された候補者に入れた。公的な当選確定の後は、きちんと説明してもらいたい。

比例代表はどこに入れたのか。これは秘密である。すべてさらけ出すより、秘密があったほうがいいだろう。ただ、自民と公明と維新と立憲と共産党には入れなかったと言っておく。自分でも最後の最後、鉛筆で投票用紙に文字を書く瞬間まで迷っていたとは言っておく。

最高裁判所裁判官国民審査。これについては、独自の判断によって三人に×をつけた。さすがに覚えきれないので、メモを見ながら×をした。

以上が、おれの選挙だ。

 

以下、おれの選挙区以外のいろいろについてメモ。

島根1区〝かめいあきこ〟問題に終止符 渦中の同名「亀井彰子」氏が出現し陰謀論一蹴!(東スポWeb) - Yahoo!ニュース

島根1区〝かめいあきこ〟問題に終止符 渦中の同名「亀井彰子」氏が出現し陰謀論一蹴! | 東スポのニュースに関するニュースを掲載

島根一区の「かめいあきこ」二名出馬の話題。これについて、立候補者が出た段階から「自民党が票を割るために行った陰謀だ!」という声がちらほら見かけられた。もしもそうであるならば、徹底的に自民党を追及すべき行いである。それほど有権者をなめた話もない。

が、その段階で、だれも立民ではない龜井彰子さんについて知らんのである。自民党と繋がりがあるという証拠も根拠もなければ、なんらかの情報すらない。「高い供託金を払って選挙活動をしないのは不自然だ」という意見もあるが、そういう人には無頼系独立候補、インディーズ候補というものの存在を知ってほしいと思う。べつにそういう人がいてもなんら不思議ではないのだ。

 

 

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おれは基本的になんの地盤も看板もなく、安くもない身銭を切って選挙に出る人は尊いと考えている。政党などの組織のバックもなく、ただ「やむにやまれぬ」思いで出馬してしまう人たちだ。そういう人はいるのであって、政党の候補がするような選挙運動をしないこともあるのだ。それはおかしいことと言えるかもしれないが、ありえないことではない。

もし、立民ではない「かめいあきこ」さんが、そういう人であったならば、ただ同姓同名で野党候補と被ってしまっただけで、自民党の陰謀の片棒担いでいるなんて扱いをしていいものだろうか。おれは断固としてよくないと思う。なんの情報もない段階で、自民党陰謀論を唱える人間を軽蔑する。

あらためて言うが、もしも自民党がそのような仕掛けをしたのであれば、軽蔑されるべきは自民党だ。ただ、「かめいあきこ」という名前の読みだけが被ってしまった段階で、なにを決めつけられるというのか。

そして、上記の東スポの記事である。はっきり言って、これといって確たる根拠になるような記事ではない。とはいえ、ある種の情報の一つである。この記事に根拠がないことをもって、まだ自民党の陰謀を匂わせる人がいるが、そういう人は、せめてこの東スポと同じだけの量の情報を持ってくるべきである。「ぼくの頭の中の自民党の陰謀」以外のなにかを。証拠や根拠でなくてもいいが、せめて、この東スポの記事と同じくらいの精度の、同じくらいの量の情報を。そのうえで、陰謀論をにおわせてほしい。

そうでないならば、個人の立候補という純粋な気持ちをないがしろにする人間だと言われても仕方がないだろう。おれはそう思う。「ある政党に属さないような人間が政治を志すのは誤りだ」という人がいるならば、おれと根本から考え方の回路が違うので、一生分かり合うことはないだろう。人間は憎しみ合って生きるのみである。

 

……と、「かめいあきこ」問題について書きすぎた。

えーと、「無敗の男」である中村喜四郎小選挙区落選というビッグニュース(か?)。あと、神奈川では自民党幹事長の甘利明が立憲の太候補と争っている。現段階で。直前の神奈川新聞の予想などでは甘利優勢とのことだったので意外だ。東京では石原伸晃小選挙区落選。香川ではワニで知られる元デジタル相が『なぜ君は』の候補(維新候補に出馬取りやめを持ちかけたという話もある)に負けたという。

党単位で言うと、非自民の受け皿が立憲ではなく維新に流れたみたいな感じで、維新躍進。手元の出馬表(週刊文春小選挙区予想が載っているやつ)に赤ペンで印をつけているが、とくに大阪ではむちゃくちゃ強いな。事前予想では共産党躍進という話もあったが、現在ではとくにそう報じられてはいない。

それにしてもなんだろうな、小選挙区制度ってのはどうなんかね。「政権交代可能な二大政党制」を目的としたものだったと思うが、どうもそうはなっていない。野党の選挙協力で一発逆転がありそうな雰囲気というのは今回出てきた感はあるが、はたして。というのも、また無頼系独立……いわゆる泡沫候補の話になってしまうが、二大勢力の争いに集約されてしまうと、かき消されてしまう小さな可能性があるのではないか。

これは良いところもあるし、悪いところもある。おれはたまに政権交代せにゃ緊張感がなくなるとは思うが、選択肢が少ない、多様な声がないものとされるのはおもしろくない。アメリカなんかは民主党共和党でやりあっていて、それなりに熱があるように見える。けど、『ボウリング・フォー・コロンバイン』のマイケル・ムーアが、二大政党制に不満をいだいて観葉植物を立候補させるというドキュメンタリーがあった。向こうでも、二世議員もいるし、選択肢のなさに不満を抱く人もいる。そこが難しい。

だったら、なんかこう、ドイツ? とかの、連立的な? あ、このあたり、本当に学がない高卒なのですみません。なにがいいのか、わからんね。そもそも民主主義というか、代議制民主主義が正しいのかというところから疑ってもいいと思う。

そんなことを考えながら、酒をあおって、選挙特番をはしごしている。たぶん嫌う人も多いと思うが、爆笑問題太田光の、二階にもタメ口で食って掛かって、自分ばかり喋って時間切れでフェードアウトというストロングスタイルはけっこう好きだ。

さて、何時まで起きていようか。

おやすみ。