投票、投票、また投票

 競馬と日用品買い出しに桜木町へ行った。行く道すがらの地区センターで投票を行った。自分の前に一人おばさんがいて、名簿チェックをしていた。その後ろに並ぶと、前のおばさんの旦那らしい人が入ってきた。窓口がわからずうろうろしていたのを、おばさんが「こっちよ」と呼ぶ。旦那さんはふらふらと俺の前にズイッと横はいりする。別に怒ったわけではないが、傍から見ればよほど酷い目つきだったのかもしれない、おばさんが慌てて後ろに並び直させる。いや、別に怒っていない。ただ、なんとなくこのと票所の雰囲気にうんざりさせられていたんだ。ついでに、名簿合わせで自分の名字が間違って読まれたが、まあそれは慣れっこだ。
 さて、投票。自分でも驚いたのだが、字を書くのに難儀した。というか、書かれた字はどう見ても小学校低学年の字だった。久しく鉛筆を握って字を書いていないことに気づいた。比例代表の方などもっと酷くて、書き間違えた。たった数文字の、それも決して難しいとは言えない漢字を書き間違えた。二重線を引いて訂正したが、訂正した字も小学校低学年の字だった。無効票にされたかもしれない。
 しかしおれは、赤ペンとマークシートの投票はあまり間違えない。フォーメーションで三連単を望み通りに買うことだってできる。買ったところで、それが望み通りの結果になるわけではないのだが。そんなわけで、桜木町で買った馬券はことごとく悲惨なことになった。京王杯AHは内外タイムスの鈴木和幸に乗ってニシノシタンを本命とした。馬連で買おうとしたら、思わず投資額が大きくなって尻込みした。そこで、どうせなら買い目も乗ろうとしたのが運の尽き。馬単折り返し三点と馬単一方通行四点。この、一方通行の方が来ちゃったんだよなぁ。マイネルモルゲン(はじめマイネルソロモンと書いていた。まったく区別がついていない)、内枠先行で軽視することなどなかったのに。あと、春先ちょっと追いかけたパリブレストが四着で復調の兆し。府中で狙いと思うが、次は人気しそうだ。西のメーンはホーマンテキーラギャラントアローを一着二着に据えた三連単を買ったが、ここでゴールデンキャストに勝たれては仕方ない。札幌のメーンもウイングランツブリットレーン中心でどうしようもなかった。本田優が独特の手綱でスーッと上がっていった時には、本当にやられたなって思ったものだ。
 そんな壊滅のありさまを、俺はスーパー競馬で見ていた。放送開始直後、大荒天のせいで音声不通になっていたフジテレビだ。フジの放送が終わった後、俺は映りの悪いテレビ神奈川にチャンネルを変え、IPATに入金指示を出し、最終勝負に出た。一票を投じたのは勝浦のアポロベルーガ。‘最終の勝浦’なんて格言は忘れていたが、これの単勝が結構ついた。相手のカウンタックはちょっと無理だった。負けを取り戻せたわけではないが、応急処置にはなった。なにはなんでも、一票投ずべし。すべての死に票に涙と花束を。