ディープインパクト〜無敗の三冠馬はこうして生まれた〜

 菊花賞前から話題になっていた、NHKスペシャルディープインパクト特集。最初は生まれ故郷の牧場、当歳時の映像から。「期待をする人はほとんどいませんでした」ってナレーションそりゃないだろう。確かにサンデーの子としては安いほうだったかもしらんが、ちょい言い過ぎだろ。全兄ブラックタイドに関する吉田勝巳の思い入れを紹介しろとはいわんがね。……などなど、ちょっと詳しそうな顔をした俺みたいなファンが見るとうるさくていけない。けど、こういう番組じゃなきゃ、調教前のストレッチの様子なんてなかなか見られないからなぁ。
 いや、しかし、何度見ても皐月賞のスタートはやばかったなぁ。逆に皐月賞落馬→ダービー勝利→菊花賞勝利の二冠馬とかになってたら、後世からいったい何と言われることやら。無敗の三冠馬より出なさそうではあるが。
 お、調教助手にマイクを付けての調教風景。いや、むっちゃムキになっとるな。前の馬を抜こうとしよる。そういやこんなんで有名になった馬おったなコスモバルク。あっちの方はどうなったんだろ。さらには心肺機能測定か。なになに、普通の馬が10分かかるところが3分。そら凄い。心肺機能といえば、カブラヤオーとかシンメイレグルスとか、名馬の条件やもんね。例が変か。まあいいや。さらには画像解析。お、JRAMac使ってる。腿の角度が違うとねぇ。まあ、こんなの見ても馬券の役には立たないなぁ。どうせなら、昔の映像引っ張り出してきて、過去の名馬との比較とかもやってほしいわ。こんな感じの馬も、多分居たのだろう。居たのだろうけど、少なくとも武豊が乗ったこと無いような少なさで。そういや評論家の誰かが、ダートじゃ絶対に走らないと言ってたけど、どうなんだろうな。
 また調教風景。池江調教助手「ガマンしなさい、ガマンしなさい」。牧場時代からの走り屋だものな。そして、ああ、サイレンススズカ。何年競馬見ても、馬の壊れるシーンは嫌なものだ。しかしなんだろう、サンデーサイレンスの子は脚が弱いか。強い馬が多すぎて、また、強い馬に付き物の故障とはいえ、言われてみるとそうか。無事これ名馬タイプってステイゴールドくらいか、みたいな。
 で、蹄鉄の話。ディープにまつわる様々の人の中でも、この装蹄師の人の役割というか、立場はかなりのものだと思う。例の新方式の釘を使わない装蹄、ここまできて落鉄したら何を言われるかわかったもんじゃない。普通の蹄鉄だって、G1レースだって落鉄はあるけれど、ここまでの馬になると、本当に何を言われるかわかったもんじゃない。それを
 お、ストーミーカフェ。うーん、ストーミーカフェはスピードとスタミナ兼ね備えているかもしれんが、故障の休み明けだぞ。つーか、淀みない流れ歓迎じゃなかったっけか。まあ、いいか。しかしなんだ、なし崩し的に脚を使わせるくらいしか、対ディープインパクト作戦はありえないだろう。さらに後ろから行って抜くのは無理だ。それならやはり、サンデー殺しのサッカーボーイ産駒、あるいはタップダンスシチー。いや、タップはロブロイにブッ差されたりしたけれど。
 で、菊花賞。おお、13万人全員が一つのことを願ってたとまで言うか、武豊。確かにそうかもしれない。というか、三冠馬に乗る以上、それくらいの気概は持っていてもらいたい。だが、中には居たはずだ、少なからず居たはずだ、そっぽを向いた天の邪鬼。俺は天の邪鬼に成りきれなかったけれど、そういうのは嫌いじゃない。予想紙の片隅で◎以外を付けた奴、内外タイムスの「浅草場外に死す」で故障の可能性を明記してディープを外した奴。俺はそういうのは嫌いじゃない。
 まあ、そんな天の邪鬼が一瞬喜んだろう、あの一周目の三角四角直線の入口。そういえば昔、ステイヤーズステークスの一周目でスパートみたいなの仕掛けた馬いたっけ。ありゃ作戦だったか。まあいいや。うーん、いや、強いなぁ。じっくり回顧されてもそう思うわ。そんで、やっぱり佐藤哲三横山典弘はいいレース作ったわ。こうなるとやはり、哲三にはインティライミ乗って出て欲しかったな。
 しかしまあ、これも同世代間の圧倒的。上の世代とやってみたらあっさりトンコロ喰らいました、なんてことは無さそうなのはレースっぷりやタイムからだってわかる。が、はてさてどうなるか、今度は馬券の一着欄から考える楽しみが出てくるわけだ。できればジャパンカップ、いや、先延ばししての有馬記念も捨てがたい……。