ジェファーソン、走らないのか?

 「トリビアの泉」を久々に見た(と言っても、見たのは「トリビアの種」部分のみだが)。「競歩の世界記録保持者が不動産屋の徒歩五分を歩く」という企画の途中からで、これがなかなか面白い。だいたい、現役の世界記録保持者を招くというあたりが、無駄に力を込めていて素敵だ。そして、あのスピード。商店街を走り、否、歩き抜ける異様さは凄まじい。結果、一分五十五秒。「競歩チャンピオンが歩いても五分三十秒掛かりました」などという結果の方がオチとしては面白いかもしれないが、それでは不動産屋の協力も得られないし、チャンピオンにも失礼だろう。
 そう、失礼と言えばその次の企画であり、むしろこちらが目玉だったかもしれない。「競歩の世界記録保持者は身の危険を感じたら走るのか?」。すなわち、身の危険を覚えさせるようなドッキリを仕掛けるというのである。タモリじゃないが、そりゃやりすぎだろう、という感じ。……であると同時に、「どうなるのか見てみたい」というのも確かであり、申し訳なさから何故か正座して見た。これはジャパニーズ・トラディションです。
 しかし、ドッキリの仕掛けのくだらなさには思わず笑った。刑務所から逃げ出した五人のサムライ(新撰組)が襲いかかるというもの。お台場から逃げて愛甲郡に潜伏するなよ、というのはどうでもいいが。そして、これを聞いてショックを受けるジェファーソン・ペレス選手。「日本の伝統文化だと思っていたのに……」。そう、この王者、とても良い人だ。見た目も爽やかで誠実そうなナイス・ガイ。ますますこちらとしても「申し訳ない」などと思ってしまうが、一方でさらにドッキリも楽しみになるアンビバレント。それなりの待遇でお招きしているのだろうけど、大使館に招かれるような人にドッキリは、と。
 で、いよいよトラックを競歩する王者に向かって、新撰組登場。いきなり警備員を斬り捨てる即斬っぷりを拾う。そして、ビックリした王者は……、走った! のだが、はっきり言って俺の目には走ってるのだか歩いているのだかよくわからなかったよ。これもまた、完全に競歩を極めた人間の持つフォームの完璧さゆえだろうか。その後、サムライと記念撮影などして「アリガトウ」と言い残して去っていったジェファーソン・ペレス。これはもう、今度オリンピックなどで見かけたら、応援するしかないという具合である。
関連1:
http://homepage3.nifty.com/race_walking/walking_frame.html
 こちらのサイトでは、競歩のルールから歴史まで詳しく解説されている。ドッキリのネタばらしとして、新選組が「ロス・オブ・コンタクト」もしくは「ベント・ニー」のパドルを出す、なんていうのも面白かったかもしれない。もっとも、サムライに競歩のルールを叩き込まなければいけないので大変か。

関連2:
http://www.ecuador-embassy.or.jp/j/
 こちらがエクアドル大使館のサイト。ギャラリーなど覗くと、その色合いが素敵な感じである。しかしながら、外務省の渡航情報(http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=243)には危険面も指摘されているので、エクアドル競歩を楽しもうという人は注意されたい。

無関係1:
 高校の世界史のテスト。ある問題の答えについて、俺は「トマスではない方のジェファーソン」という事を確信した。しかし、いくら頭をこねくり回そうと、ついぞトマス以外のファーストネームが出てこない。試験後、俺は参考書を開いて頭をハンマーで殴られたような思いをした。答えは「ジェファーソン・デイヴィス」。ファーストネームかよ! ということで、頭をこねくり回す前に、「何をこねくり回すか」ということが肝要であると学んだ次第である。俺の方法論叙説。この低次元さにジェファーソン・エアプレインもびっくりだ。