『CASSHERN』監督/紀里谷和明

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 はじめに断っておくが、俺が見たのは最後の二、三十分だけである。本当はちゃんと見ようと思っていたが、ずるずる職場でネットやってしまったのだ。そして、帰ってテレビをつけたら、キャシャーン唐沢寿明が何か直接対決のようなことをしていたのだ。だから、俺がこの映画について語れるのは、最後の部分だけである。
 最後の部分だけ見た俺の感想は「かなりいいじゃん」だ。これに尽る。もちろん、ネット上で『デビルマン』(未見)と並んで、ちょっとすごい評判、有り体に言えばすごい悪評をたくさん目にしていて、「見よう」と思った動機付けも正直そこにあった。が、唐沢(俺は唐沢がキャシャーンだと勘違いしていた。映画の唐沢の姿、何かに似ていると思ったら、ゼノサーガアルベドだった)のほかに、寺尾總や樋口可南子及川光博寺島進……、それに大滝秀治まで出てきて、それがいい味出している。これだけ役者が揃っていたとは思いもしなかった。全体の色調や画質の処理、さまざまの小道具(俺は小道具が素敵だと映画全部を好きになる癖がある)、素早いカット割り……。文句のつけようがない。それに俺は放っておいても宇多田ヒカルのCDを買ってしまう癖もあるので、主題歌だって悪いはずがない。ただ、ただですよ、俺は最後の最後だけ見たからストーリーぜんぜん分からなくて当たり前だったけれど、映画全体がこのペース、このテンポで進行するのならば、正直最初から最後まで見られるという自信はない。途中でチャンネル変えてオリンピック見る公算が大きい。
 ……と、書いていて自己嫌悪してしまうのは、この最後だけ見た感想があまりに予定調和的じゃないかと思うからだ。すなわち、世の悪評に迎合するような感想だろうということだ。全部見てもいないのに、ある評価に与するような評価は失礼だ。しかし、それと同時に、「全体がこんな感じで進む」という予感・予想は、おそらく当たっているんじゃないか、そんな風に思うのも事実なのである。いや、ほぼ確信していると言ってもいい。だったら、何も書かないでおくべきだったのではないか。
 しかし、俺が帰宅した後、外套も靴下も脱ぐのも忘れてテレビに見入ったのは事実なのだ。その点は、俺自身書き留めておくべきだろうと思った。いつか、この作品を通して全部見る機会があるのか、それはわからない。ただ、とにかく紀里谷という人が、映像や音楽の組み合わせにおいて面白い才能のある人だというのはわかった。PVには積極的に注目していきたい。……というのも予定調和的か。まあいいや。