Nスペを見た

http://www.nhk.or.jp/special/onair/060820.html
 韓国のファン・ウソク博士による論文捏造問題。ネット上でも話題になって、フォトショップで回転させただけ、みたいなお粗末な画像操作とか見たっけ。で、以前、同じくNスペだったか、論文捏造を取り上げたドキュメンタリを見たことがあり、それがなかなかにおもしろかったので、今回も見てみた。それに、ナレーションが渡部篤郎。渋すぎ。
 で、内容はというと、前のやつと似たようなものだった。やはり成果を出さねばという重圧や、小さな嘘が通ってしまって、嘘に嘘を積み重ねていかなければいかなくなっていく構造。ノーと言い難い内輪の雰囲気、などなど。このケースでは韓国の熱狂しやすい体質みたいなものも加わろうが、ゴッドハンドやなんかにしても、似たようなものではなかろうか。そして、こういった捏造を防ぐ手だてはないという。
 でも、結局のところ科学なんだから、いくら嘘のデータをついたところで、誰かに検証されて終わりなんじゃないかね。再現できなければ、それだけの話ではないのか。それは、捏造の意図無く提出された、新しいアイディアや仮説を検証するのと、同じプロセスなんじゃないだろうか。
 ああ、でも、やっぱり前提からしておかしいとなると、研究者もどこからチェックするかなんてことが大変か。いずればれる嘘であれ、それが明らかになるまで、膨大な手間やコストがかかったり、その分野全体の進歩が鈍ったり、逆行したりするおそれもあるか。で、こんなことになって分野の信用度が落ちれば、スポンサーも手を引いてしまうと。こういう危険をはらむことは、科学技術とそれがもたらす人類の福祉・健康・文明の進歩にたいして、大きな問題となってこよう。
 ……とか言ったところで、俺個人にとってはインドネシア国内にボクシングを統括する組織が二つあるのと同じくらいどうでもいい話だな。ES細胞による治療しか道がない、みたいな病気になったところで、それが下々にまでもたらされる間に、人生の方が先に終わる。