ヘビを見たはなし

goldhead2006-10-05

 こないだの競馬の帰り、車も通れない細い路地を歩いていたら、道の脇に大きなヘビがいるのを見たんだ。カナヘビはよく見かけるけど、ヘビははじめてだったな。虫もは虫類も苦手だけれど、思わず携帯のカメラで捕って、溝に頭つっこんで何してんのか眺めていたよ。
 そうしたら、向こうから小学生が三人だったかやってきた。僕はなんとなく、彼らにもこの驚きの大きなヘビを見せたくて、わざともう一度携帯を向けて、写真を撮るふりをしたんだな。もちろん、彼らもこっちが何してるか気になる。入れ違いに立ち去ろうとすると、「すげー!ヘビだ!」の声。横浜市中区の子供もあんがいわんぱくなもので、恐がりはしないみたい。振り返って様子を見てみると、「頭だ!頭を狙え!」て、追い回そうとしてる。それはわんぱくすぎだ。ヘビがかわいそうだ。もしもヘビが死んだら、僕が殺したも同じだ。どうしよう、なんて声かけようと悩んで「かわいそうだから、やめなよ」ではちょっと弱いかと思い、そうだ、「危ないから、やめろよ」にしようかと思ったが、もうヘビは素早い動きで逃げてしまったみたい。ちょっと離れたところから眺めている僕と、彼らのうちの一人の目があって、僕は無言できびすを返して、早足で家路についたのさ。
http://www.asahi.com/national/update/1005/OSK200610050026.html

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 僕の判断は大いに正しかったみたい。最後に早足になったのも、子供と関わりを持ちたくなかったからだ。考えてみれば、「ヘビがいるよ」と最初に言葉で示せなかったのも、止めようと声をかけられなかったのも、子供に声かけるのが怖かったからだ。彼らはそんなふうに見えなかったけれど、誰か第三者が見ていて怪しく思うかもしれない。なにせ、大学の助教授だって逮捕、起訴されてしまう社会、身分無職、茶髪、ピアスの僕がどう思われるか知ったものではない。何より大切なのは我が身でしょう。
 というわけで、先日も飲食店の前、小さな子供たちが手すりにまたがって遊んでいて、相当小さな子まで真似しようとして、頭から落ちたら大けがじゃないかと思ったけど、華麗にスルーしたっけな。左から順にドレミファドンと脳漿まき散らしても、僕はなんとも思わない。