だが、ちょっと待ってほしい。県政にタックルする前に考えることがあるのではないか

 ポストにA4二つ折りの小さなチラシが入っていました。「民主」と書かれたそれは、文字通り民主党の機関紙です。自民党松本純議員のチラシもちょくちょく入りますが、いずれにせよゴミ箱行きです。ゴミ箱行きなのですが、捨てる前に一応目を通すのが性分です。そして、その文章に腰を抜かすほど驚いた。

中区から県政にタックル!
作山友祐を公認
 民主党は次期統一地方選挙('07年4月8日予定)神奈川県議会横浜市中区に、作山友祐〔31歳〕を公認決定した。
 小沢一郎衆議院議員を代表に再選出し、極端で偏向した『煽動政治』が台頭して日本の危機を一段と深刻にしている現状を、土台からつくり直し、新しい仕組み・ルールを定め、日本のよさを保守し、平和と安定が続く基盤を確立する。政権交代・二大政党時代に向け、総力を挙げて「ニッポンを動かす。」原動力を中区から始動する。

 タックルはかまわんのですよ。一段落目のすさまじい漢字の羅列にも目をつぶりましょう。ともかく、見てください、この二段落目。二つ目の読点までを、次のように解釈できちゃうんです。「小沢を代表にし、煽動政治が台頭し、日本の危機を深刻にしている」と。これが本意だとしたら、党内反小沢勢力の急先鋒としての苛烈な意思表示なのですが、当然そうではないのでしょう。さらに「つくり直し」、「定め」、「保守し」、「確立する」と述語が続きますが、その主語もはっきりしていません。主語がはっきりしていなくても成り立つのが日本語ともいえますが、さすがにこれはひどい
 そうです、ともかく主語です。冒頭に置かれるべき「民主党」だけじゃなく、「極端で〜」の部分も自民党ないし連立政権であるとはっきり明示すればいい。それをせずに、下手な揶揄でつなごうとするからいけない。だいたい、これだけの情報量をワンセンテンスにぶち込もうとするのが間違いだ。理解しがたい。全体の流れも、「現在の日本は自民党のせいでおかしい」→「そこで民主党は小沢を立てて、こうするつもりだ」とつなげば明快だろう。なのに、意味ありげで中身のない言葉を連ねて、意味から遠くしている。役人の文章みたいだ。いや、役人の文章だって、回り道しながらも主語と述語くらい対応している。だいたいなんだ、最後の「原動力を」「始動する」って。これもおかしいでしょう。つながらないでしょう。原動力って始動しますか? 原動力って動かすもとになる力でしょう。なにがなんだかわからない。そもそも「ニッポンを動かす。」ってのも、引用なのかもしれないけれど、独りよがりにしか見えない。読みにくい。ついでに中面の「ごあいさつ」も気になるところがいくつもある。

スウェーデンでは、納める税金の75.6%が国民に還元されています。一方、税金を払っても払っても、なぜか将来の不安で一杯の日本社会。同じく税金の還元率は41.6%に過ぎません。

→よいスウェーデンと悪い日本という対比。この文脈で、何が「同じく」なのか。

 私たちに本当に必要な社会的な行政サービスを行うためには

→「な」「な」も気になるし、修飾するまでもなく行政サービスは社会的なものではないのか。それよりこれも主語と述語の対応がおかしい。「を行わせるためには」、「が行われるようになるためには」ではないのか。また、もし行う側からの視点なのであれば、主語を「国民」や「市民」に変えなきゃいけないはずだ。

私は人生を政治の道へ進み

→決めの台詞で破綻しているのは悲しい。

 ……って別に私はこの作山さんにも民主党にも悪い感情はないし、言ってる中身に何か言いたいわけでもない。別にこれが自民だろうと共産だろうと関係ない。ともかく、中身以前に、活字になる文章に、もうちょっと気をつかってくれ。政治にとって言葉は、そう軽んじていいもんじゃないはずだ。せめて言葉くらいは大切にしてくれ。別に政治に関わらずとも、言葉は大切にしてくれ。いや、文末の統一もできていない俺に、というかこの日記の言葉のひどくひどい俺の言葉で言われたくもないだろうが、最低限なんとかしてくれ。