映画館に見に行ったり、DVDを買ったり借りたりするほどではないけれど、テレビでやるのなら見たい映画というのはあって、この『男たちの大和』もその一つ。なにせ俺は薄っぺらいミーハーミリタリー好きだからな。というか、男の子ならそうだろうとか、その程度のものだけれども。
して、大和非業の撃沈にいたるまで、実に迫力あってよかった。これだけやれれば十分じゃないだろうか。ちょっと甘いだろうか。いや、甘くない。三千人の人間が殺される戦いってのは、こうでしかない。やっぱりこういうのは息をのんで見入ってしまう。それで、俺の頭の中にはもわもわっとマイク水野が出てきて「戦争は絶対やめなければいけない」と棒読みする。そういうもんでしょう。
何かのための映画(や色々な作品)などという考え方はあまりおもしろくないけれど(だからといってそういう中に優れた作品がないとは限らないし、それが作り手の意図通りかどうかは別なのだけれど)、もしもこれぞ反戦映画みたいなものがあるとすれば、俺は『プライベート・ライアン』だと思うな。理由は、戦場がリアルに見えるから。怖いから。あのライアンがどんな話だったかはともかく、あの上陸作戦の死にっぷりを見た後に、愛国心も平和も反戦もクソもない。口からクソ垂れるまえとあとにサーを付けろ。ああ、そのあたりについては遊就館とか見ても思う(id:goldhead:20070103#p1)けどな。俺が弱虫で感じやすいだけかしらん。
というわけで、それで話を終わらせてもいいが、映画の始まりから終わりまで戦闘シーンでもなかったので、そうともいかないか。仲代達矢の若いころ役の松山ケンイチさんか、彼はよかったな。でも、反町隆史と中村獅童は力みっぱなしでかなわんところがあったな、とくに前者。ストーリーの方も、流れている感じがなく、大和が航海しているという風でもなく、ぶつ切りの印象。セットに出入りしている印象。最初の戦闘への入り方なんか、フィルムつなぎ間違いかと思った。正直なところ、『あらしのよるに』のキーとなるシーン、ラストシーンを見たと思う。まあ、ええことよ。
というわけで、この作品で興行的成功をおさめた角川春樹が、いきなりモンゴルへ飛んでしまったのは残念である。これくらいの規模で戦艦武蔵やってくれ。もしも「長門の生涯」をやってくれたら、そのときは映画館見に行くぞ。たぶん。
→あと、なんでテレビ朝日かと思ったが、スタッフロールのナレーション:渡辺宜嗣見て思い出した。ニュースステーションで、という印象があるけれど、沈んだ大和探ししていたものな。だから一枚かんでいたのか。
→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%92%8C_%28%E6%88%A6%E8%89%A6%29 「片舷の対空装備をなぎ払った後、その側に魚雷を集中させて横転させよう」という作戦だったのか。やけに戦闘機の機銃掃射ばっかりで、やっぱり主人公達が攻撃されるシーンだからかと思ったが、そういうことだったか。