http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-20070717-228185.html
世界最大の馬主軍団ゴドルフィンがアドマイヤムーン(牡4、栗東・松田博)獲得に乗り出し、40億円の巨額トレードを近藤利一オーナーに申し入れたことが16日、明らかになった。
名前がよかったんだろうな。月に見とれる、月に敬服する、賞月アドマイヤムーン。イスラムの心をくすぐるにはぴったりの馬名。人工都市ドバイが地上の楽園化しているあたりにユートピア、今後ゴドルフィン相手の商売としては、馬名がキーポイントになるのは間違いない。次はカネサマンゲツあたりが狙われるだろうか。
というのはともかく、日本馬もいよいよ本格的にこういうステージに上がるようになってきたということ。いくらその時々で景気のいい新馬主が現れるとはいえ、日本国内だけでは限りがある。そこに、外国相手に高い商売になる可能性が出てくるとなれば、道は広がろうというもの。また、これはJRAがパート1国入りを目指した理由でもあろう。
むろん、既存の日本競馬界にしてみれば、外国に食い荒らされる、という意識も出てくるだろう。それは、アメリカも辿ってきた道(id:goldhead:20070709#p3)ではあるし、あるいは種牡馬や繁殖牝馬ビジネスにおいて、景気がよかったころの日本は食い荒らす立場にあったのも確かなこと。日本の競馬、中央競馬だけが「買われて いかない」わけにはいかない(地方は馬も騎手も中央に吸い上げられる。見方によっては)。食って食われての戦いに身を投じなければならん。鎖国、墓場であるより、そちらの方がどこを見ても競争である競馬らしいのではないかとも思う。
権力は血統を制するにあり、金にはあらず
……というのは、先の『ホース・トレーダーズ』(id:goldhead:20070709#p3)に紹介されていた、アメリカ競馬の格言。日本はサンデーサイレンスの血を高く売りつけていくしかない。そしてまた、サンデーの飽和状態を避け、新しいサンデーを見つけなければならない。日本を代表するブリーダーやホースマンたちが、世界を向こうに回して戦う、立ち回るのを期待したい。
たしかにアドマイヤムーンがこの後すぐに移籍となれば、秋競馬の楽しみは減る。宝塚記念でいい馬券を獲らせてもらった馬だけに、俺も残念に思う。が、俺が競馬をはじめたころには想像できなかったこと、競馬ゲームですら想定していなかったこと。そちらの方の未来を早く見ていきたいという思いの方が、正直強い。