伊集院光的敗北の豆乳鍋

 月曜深夜に痴豚さまが「全身の毛が抜けて爪が生えてこないくらいうまい」と大絶賛していたミツカン豆乳鍋スープ。そりゃあね、たかだかスーパーで売られている鍋のスープ、究極の美味とかそういうもんじゃあないだろう。ただ、一人の人間がここまで絶賛するということは、どこかのベクトルへはかなり突き抜けているはずだし、そういったものなら、趣味に完全合致しなくても、それなりにうまいと思える可能性は高い。万が一毛が抜けたら、それはそれで結構。
 そんな風に思いながら火曜日を過ごしていたら、頭の中は豆乳色。鶏肉とネギか。貝はどうしよう? なんか下処理必要なんだっけ? とか、それで、いつものスーパー、鍋スープの品揃えはいいはずって、頭豆乳で行ったわけ。そしたらさ、肉コーナーのこっちがわにあるあのコーナー、ねえのな、ミツカン。あるのはダイショーとモランボン。まさか芸能人効果で売り切れ? というわけもなく、ミツカンお取り扱いなし。
 頭の中にリストカッターケンイチのテーマが流れつつ、ミツカンを買うまで我慢するか、ここで買えるもので妥協するか考え、買うことにした。この妥協の悔しさったらないな。一本いっとくか? それで、肉とか入れてレジ付近、そこでさ、なんか特売品コーナーがあって、なんと豆乳鍋スープ……も、これまた別メーカー。しかし、こちらの方が98円安い。が、なんかもうどうでもいいので、最初のを購入。
 で、その結果がうまかったかどうかというと、そりゃあマズイわけもないけれど、豆乳色の頭を満たすには薄すぎて。それになんだ、もっと豆乳豆乳してた方が美味しいんじゃねえかとか、それだったら普通に豆乳買って鍋にすっかとか考えたりして。だいたい、あのスープ、一人暮らしには大きすぎるんだよな。
 なんかこういうさ、こういう小さな失敗とか敗北とか、ケンイチ君のネタにもならないような、日常におけるそういうものの積み重ねとかが、なんかその、日曜深夜にあのラジオに親しみを感じる人間に共通する要素のような気がするんだが、どうだろうか。逆に、こういう失敗や敗北の無い人間、無いというか、それをたいしたことと思わない人間、そいつらは、とりあえず一本いったりしないのだろうな、とか。
 まあ、それはともかく、いや待て、高級鶏肉やハマグリ、深谷ネギならいざ知らず、ミツカンのスープくらいなら、どっかあるだろって、ダイエーお近くの人に頼んだわけ。「お前はミツカンのごま豆乳鍋つゆストレート購入&仕送りマシーンだ」って言ってさ。それで、あったってメールがあって、それで今朝受け取った。よし、今日の晩はリベンジだ。中国産のハマグリ買うかどうか今から考え抜くぜ。
http://www3.mizkan.co.jp/sapari/product/group/index.asp?id=07016&sid=07