『RD 潜脳調査室』 第9話:職

 いやあ、いい話じゃねえの。ようやくハードな展開になってきて愚息も昇天。大一枚。いやあ、そうじゃなくて。やっとこさストーリー全体に対する何かの蠢きが感じられたわけじゃねえの。メタル内の意識複合体だかなんだかって、ようやくかよって。先週の幽霊もその一貫だったりしたら面白かったんじゃねえかとか、そのあたり。そしてメタルの先には海がある、地球があるというほのめかし。予告の海底HDDと絡めれば、なんとなくありがちな展開も予想できるがはてさて。
 しかし、なんといってもソウタの……家の中とかの緑がいいよなと。かつてのSFといえば、つるんつるんでぴかぴかの無機的ビジョンか、『ブレードランナー』的、押井守の『攻殻機動隊』的な無秩序の汚れかってところだけど、今は緑化、どれだけ緑化できるかがSFテイストだ。バックミンスター・フラーのドームを全面緑化して苔玉みてえにしちまえとか、そういう感じだ(どういう感じだろうか?)。
 それに、人のいる環境もそうだ。たとえば今回の謎のクラッキングイロウルが襲ったネルフの暗い地下でもなければ、『イノセンス』で「デコイ、デコイ」言ってた中華系ハッカー(と呼べるのかあれは)でもなく、『攻殻機動隊2』のスターバトマーテル周りでもなく、健康的で明るいオフィス。そうだよ、誰が好きこのんで無機と闇のものを造ろうか。これはこれでSFらしい。
 それでともかくソウタ。前にも一度書記長先生のそういうシーンがあって、ソウタっぽい? とか思ったけど、その後ぜんぜんそういう仄めかしなかったけれども、いや、なんともまあ。案外ああ見えるようなのが、年上の女……中身がボブ周恩みたいでないと誰が言えよう?……とよろしくやってるってのは、まあ、そういうものだ。あれはきっと、すごい見下したような表情を隠すために、胸に顔うずめるタイプの冷たい男だぜ。そのかわり若い体はギンギンでイン・アウトを繰り返すわけだ、わかるかドルーギーども。それにしても今回、妹のデボチカは登場シーン少なかった。あと、波留さんは脇役的存在、冬月的存在だったりしたらけっこうなホラーショーだったと思うけど、まあそれも一手。それと、衛おやじさんと久島の会話に視線が集まる感じとか、そのへんの細かい芝居で状況とか背景を想像させるようなあたりもいいので、ますます楽しみになったよ、ライティ・ライト?