讃えよ多田野を

連覇を狙う交流戦V争いから1歩後退したが、5回にはインディアンス時代にヤンキースの強打者A・ロドリゲスを打ち取った超スローボールを披露。遅すぎて計測不能だった。

http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20080619-373787.html

 多田野数人の超スローボール、たまげたなあ。報道ステーションで何度も流すたびに目が釘付けになっちゃった。小宮山悟のシェイクどころじゃない超山なりスローボール、引っかけるシーボル、なんか素敵じゃない? 150km/hの速球も見慣れているし、クルーンが160km/h投げたってもう驚かない。だけど、この球ったらすっごく珍しくない?
 私、こんなボール投げるのってすごく勇気がいると思う。あんな子供のキャッチボールみたいな球投げて、スコーンって片腕一本でホームランでもされたらどう思う? 総スカンもいいところ。「何ふざけてるんですか!」ってことになっちゃうと思う。だけど、多田野は投げる。それってすっごい度胸だと思う。人生の辛苦をなめ、地獄を見てきた人間にしかできない芸当。腕が折れたまま、フォームが乱れても投げ続けているアグレッシヴさとあわせて、相当すごいって思った。スローボール目的に、たとえばオールスターで見てみたい選手って素直に思える。
 ……って、カープファンとしては、若き18番マエケンこと前田健太のことを最初に採り上げるべきだったかもしれない。でも、私は多田野のピッチングにヒントを見たの。誰へのヒントって、大竹よ大竹、大竹寛へのヒント。大竹ったら、今のマエケンくらい期待されてた超高校生級新人だった。今季は黒田の後釜とさえ言われてた。誰もがその素材を評価する、本格派右腕。だけど、今シーズンすでに2勝9敗。もちろん、打線の援護との巡り合わせだってある。あるけれど、ここまで負けがこんでいるのは、やっぱり投手本人のせいが大きいんじゃない。
 いったいどうしてこうなの? もちろん、本人や現場のコーチが一番わかってて、考えてること。だけどファンだって言いたい。ひょっとしたら、あまりにも本格派、本格派って言い過ぎて、技が、テクニックが、頭脳がお留守になってるんじゃないかしらって。速球と変化球一個で相手をねじ伏せられる投手なんてほとんどいない。大竹も、もっと小手先のテクニックが必要じゃないの。たとえば前田健太だって、ブラウンがベテランみたいって言うように、緩急をつけて打ち取る技術を持ってる。若さと気迫、勢いも今の大竹にはないけど、投球術があるはず。ハートはもちろん大切。でも、テクニックがないとうまくいかないことってあるの。大竹にはもっとけれんみが必要。
 そう、だからいっそのこと、多田野に弟子入りして、超スローボールのひとつでも覚えてみたらどうかしら。本格派は本格派でいいけれど、その路線で成功するとは限らない。黒田博樹みたいになるとは限らない。もちろん、カープだって清川によってアンダースローに改造手術させたりしてるけど、たとえば大竹を左の下手投げにしろとは言わないけど、超スローボールを投げるくらいのけれんみが欲しい。そして、エース候補から一転して四つん這いになって、苦汁をしゃぶるくらいの経験が必要じゃないかって思う。何がしゃぶれだぁ? お前が以下略。

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