交流戦最下位決定記念 このごろのカープについて

広島・佐々岡監督、サヨナラ負けで交流戦最下位確定も「あと3試合、必死にやるだけ」/広島カープ/デイリースポーツ online

 広島が痛恨のサヨナラ負けを喫し、2年ぶりの7連敗。交流戦の最下位が確定した。

3点差を追いついて迎えた8-8の九回、守護神のドラフト1位・栗林良吏投手(トヨタ自動車)が、T-岡田にサヨナラ打を浴びた。栗林は開幕から23試合目で初失点し、初黒星。開幕から継続してきた連続無失点試合は「22」で止まった。

このごろカープの試合を見るのが苦痛に近くなっている。それなのに見てしまうのはおれがカープファンだからなのだが、それほどマゾヒストというわけでもない。そのくらい今のカープは弱い、いや、あえて言えば「試合がつまらない」。

チームが現状で弱いのは仕方ない面もある。コロナの感染によって主力の大部分が失われた時期があった。もちろん、その時点での戦力低下はあった。そのうえ、隔離などになった選手、あるいは菊池涼介など高熱が出てしまった選手などは、復帰したところでいきなり100%の力を発揮できるわけでもないだろう。

が、そのコロナ危機のなか、二軍から大量招集されてなんとか試合をしていた時期は、負けても「試合がつまらない」ということはなかった。むしろ、負けて当然の状態、ここでいきなりアピールして台頭してくる若手なんかいないのか? チームもなんかがむしゃらだった。

だからこそ、菊池涼介の復帰戦は素晴らしかった。ヒーローインタビューは譲ったものの見事な守備にバントヒット。ニュース番組のスポーツコーナーでは菊池ばかりが取り上げられていたものだ。

が、その後が、このなんというか、ひどい。菊池も最初はともかくなにか体調が万全でないのでは、みたいなスイングが目立つ。鈴木誠也は一試合に一本ぐらいヒットを打って、一回くらい四球を選ぶので、ひどい数字にはなっていないものの(打点は少ないが)、無気力に見えてしまう打席が目立つ。むろん、鈴木誠也がやる気をなくしているわけはないと信じているが、自分のバッティングができていないこと、チャンスで打てていないことに、整理がついてないような感じがする。はっきり言って、チームの士気が上がる感じはしない。

で、その打線が久々に打って8点取ったら、9点取られてて負けたのが昨日の試合だ。栗林は責められない。おそらくは、9回に同点に追いついたので急遽登板だったのだろう。まあ、そうでなくとも、今まで本当にカープファンの希望になってくれていた。それでも、漫画じゃあるまいいつかは点を取られる。それがたまたま昨日だった。昨日落としたからといってなんだというのだ。たぶん、もっと落ちるときがくる。

というか、交流戦最下位で、セ・リーグの順位でも実質的最下位(コロナの中止で試合数に差があったりして、ゲーム差-1という妙なことになっている)。こういってはなんだけれども、まさかベイに追いつかれるとは思っていなかった。そのくらい、カープは弱い。

そこで監督やコーチに責任を問う声が出てくるのも仕方あるまい。Twitterで実況を見ていても、8対2、いや、うーん、7対3くらいで批難の声が多い。

おれ? おれは……佐々岡って監督に向いてないんじゃないかと思っているので、批難派ということになるだろうか。ひとつの試合の要所要所における勝負勘のなさ。あるいは、活躍した若手を次の試合で相手投手の左右だけを理由にベンチスタートさせてしまう、流れの無視。というか、右の堂林より左の林の方が対左腕打率高いんだけど、みたいな。細かい戦術に弱く、かといってチームとファンを乗せていくような用兵もできない。どうにも、向いてないんじゃないのか。

まあ、もちろん、実際にプレーするのは選手だ。138km/hくらいの直球でアナウンサーに「ここは速い球で内角をつきます」と言われてしまうようなピッチャー。あ、いや、138km/hなのに不思議と打てない投球術があるということはわかっています。でも、それがないのにストレートが140km/hいくかどうかというのは、ちょっとつらくないか。具体的にだれとは言わないけれど。そりゃね、コルニエルみたいに160km/h投げても打たれるときは打たれる。そんでもなんか、力で抑えられなければ技で勝負の技もない、ような。それで先発ローテは厳しい。

野手だって、たとえばクロン。DHのある対パ・リーグ戦で8番か9番においておけるくらいの状態。ただし、パワーは証明している。パワーと人の良さと一塁守備の良さは確かだ。ただ、安定性皆無。なんかちょっとの気づきで一変しそうな雰囲気がないわけでもない。それを指導できる指導者はおらんのか、ということになる。

おらんのじゃな。なんというか、コーチの面々を見ていて感じる暗黒時代感。こういってはなんだけれども、あなたの現役時代の成績を見ると、今の主力選手に指導できる能力があるかどうか疑問なのだけれど、というような。ああ、ああ、もちろん、「名選手かならずしも名コーチにあらず」よ。それはわかっとるんだが……。なんか勝ち方を知っている指導者がほしい。むやみに毎回いじるだけいじって結果が出ない打順をどうにかしてほしい……。

と、グチグチになってしまうが、最下位のチームのファンがイケイケドンドンで「今のカープは黄金時代」と言うのもおかしな話で。いや、そういうファンの方が幸せな野球ファンだというのは確かだけれども、おれはグチる方なので。

でも、やっぱり希望のあることで終わらせたい。開幕から勝ちパターンの中継ぎを任されていた大道。初先発で5回ノーヒット。「先発はおれに任せろ!」みたいな負けん気の強さのようなものが感じられて、たいへん好もしい。コルニエルも速球という武器と、あとなんかウイニングショットでも覚えてくれたらやばいピッチャーになるだろう。島内もすばらしいストレートを投げるので、いつでも投げられるようになってくれないかな。栗林には、もうなにも言うことはない。社会人野球の経験が大きいのだろうか、ルーキーらしさが微塵もない。ベテラン職人の域にある。それでいて、ほとんど抑える。無敵だ。素敵。

打者ではやはり小園や林、羽月、宇草、中村奨あたりに躍動してもらいたいし、そうでなければ数年後のカープはない。もちろん、鈴木誠也、西川龍馬の真の復活だってみたいのだぜ。

まあ、ともかく、今からいきなりバンバン勝てとはいわないけれど、つまらない試合だけは見せてくれるな広島カープ。希望は、捨てるな。