薄いオージービーフ、そして重曹

 今、ラジオ聴いてたら、どっかのシェフさんが、安いオージービーフを美味く食う方法を紹介していて、それは、うすーいしゃぶしゃぶ用みてえな肉を買って、表面に重曹をふって上に肉を重ねその上に重曹をふって上に肉を重ね……を繰り返して一つの塊にして、焼けば、疑似肉汁流れるって、そんなこと言ってて。重曹(軍曹に似てるよね?)っていえば、野菜の灰汁抜きに使ったり、急須を洗うのに使ったり(洗剤を使うと洗剤臭が染み込むというので)、歯を磨くのに使ったり(たまに)、まあ主婦の知恵みたいなことしていて常備。そうか、しゃぶしゃぶのような肉か。
 ……って、オエー、俺、あんときしゃぶしゃぶ食べ放題して以来、自宅で肉食はしてねえんだ、ほとんど。これ、ほんと。スーパーで肉売場華麗にスルーだもんよ。つーか、肉買ってたころも、ほとんどが豚と鶏であって、牛はやすいオージービーフもほとんど買ったことねえや。
 でも、でも、なーんか食いたくなった。シェフの語り口が妙にエキセントリックだったり、夜も更けてきて零時を過ぎて腹も少し減ってるような減ってないような気になってたりってこともあるけれども、なーんかさ、なーんか薄切り肉を重ねて一つの塊にして肉汁が溢れたりするのっておもしろそうじゃないか。そうだ、それにステーキ風だ、やっすいやっすいオージービーフのステーキ肉っぽいの焼いても、どう焼いてもおいしくならない、当たり前なのかもしれないが、それに対するリベンジもある。
 そうだ、そもそも別に宗教的に肉食を自らに禁じていたわけでもなんでもない、これ試したっていいじゃない。たまに売れ残りのお総菜の肉だって食ってるし、昼は牛丼もマクドナルドも食うんだ、そうだ、これやってみよう、たぶん、きっと、やっすいオージービーフ買うのにためらいながらも。