俺はねこまんまのことを何も知らずに生きてきた

 Yahoo!のトップにこんな見出しがあった。

・男性に売れる「ねこまんま」本

 この場合に指ししめされる「男性」とは、すなわち俺のような独身で、金がなく、自炊するような野郎のことだろう。というわけで、自炊好きの俺はこの記事に興味をそそられたか? 答えはノーノーネヴァー。むしろ、「ねこまんま」を思い浮かべて気持ち悪くなったくらいだ。
 が、Yahoo!さんのトピックスくらいは見ておきたくなる俺。ちょっと開くと、以下のような文章。

卵かけごはんが空前のブームとなっているが、今度は「ねこまんま」が注目されている。「白いごはんに鰹節と醤油」が基本だが、バター、カップ麺、揚げ玉、ケチャップといった冷蔵庫にある材料も使って、いかにごはんをおいしくたべるか、というアイデアが満載だ。「ねこまんま」に特化した料理本も登場し、発売から1か月で2万冊以上が売れ、重版が決まった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090228-00000001-jct-soci

 ……? ……? ……? 「白いごはんに鰹節と醤油」に、味噌汁ぶっかけるの? ケチャップに、味噌汁?

wikipedia:ねこまんま

飯の食べ方に与えられる俗称。ねこめし(猫飯)とも呼ばれる。「まんま」とは、飯の幼児語。飯に鰹節をかけ混ぜ込んだものを言う地方と、飯に味噌汁、特にダシをとった煮干の残り物をかけたものをそう呼ぶ地方とに分かれる。後者は、総じて、日本の食事マナー上では好ましくないとされる食事法を指すことが多い。

 うはあ、俺の中の「ねこまんま」は、ウィキペディアの言うところの後者であって、「ご飯に味噌汁をぶっかける食い物」であって、冷や飯に残り物の味噌汁をぶっかけるようなものであって、総じて、俺の食事マナー上では好ましくないとされる食事法なのだ。いや、俺の、というよりは、俺の育った家で、ではだろうか。父は総じてあまりマナーなどにうるさくない人間だったが、なぜかわからぬが「ねこまんま」を目の敵にしていたような気がする。いや、違うか? 違うかな? 総じてやや上品な母が、すごく嫌っていたのかしらん? いずれにせよ、出は関西だ。
 と、まあともかく、わが家では、お茶漬けはあっても、「ねこまんま」は「ありえない」食べ物だった。ご飯に味噌汁をかける「ねこまんま」は。いやはや。
 というわけで、食わず嫌い、というのに近いか、俺の中で(ご飯に味噌汁をかける)「ねこまんま」はありえない食べ物だった。なおかつ、俺は「白米は白米で」という派であり、そのうえ、「炊きたて以外は食べたくない」、「冷や飯はチャーハンにする以外は食べたくない」というお坊ちゃんであって、食卓文化以外にもあまりそそられるところがない。たとえ東海林さだお、俺が文字を読み始めると同時に、食についてのグル(精神的指導者)になった東海林さだおが、いくら(ご飯に味噌汁をかける)「ねこまんま」の魅力を語ったところで、まるで動じない。そういうものなのだ。
 が、なんだ、ご飯に鰹節をかけて混ぜ込むと。それはなんだ、美味しそうじゃないか。そっちならやってみてもいい。そう思った。あと、たとえば俺がこないだ戦ったお茶を使わない創作系お茶漬けとどう違うのかとか、ちょっと気になったのであった。

関連______________________

猫めしの丸かじり (文春文庫)
 ……猫めしの丸かじり、なんてのがありやがんの。俺と東海林さだおについては、このへんかしらん