ひとがたの君の時代

ピグマリオンコンプレックスとは人形偏愛症を意味する用語。心のない対象である「人形」を愛するディスコミュニケーションの一種とされるが、より広義では女性を人形のように扱う性癖も意味する。学術的にはピュグマリオニズム (英語:Pygmalionism) と呼ばれる。また、パラフィリア (性嗜好異常) の用語としては、こうした嗜好はアガルマトフィリア (英語:Agalmatophilia) またはスタチューフィリア (英語:Statuephilia) とも呼ばれる。

ピグマリオンコンプレックス - Wikipedia

 俺の性的嗜好について説明するのはひどく簡単で、わりあいストライクゾーン広めという具合だと思う。逆にいえば「これじゃなきゃダメなんだ!」という、狭く、深い、そんな偏愛、フェチズムの深淵には至らないというところだと思う。
 というわけで、人形も好きだ。人形にはひかれる。けっこうひかれる。少女人形、少年人形などというと、なにかぞくりとくるところがある。究極的なところ、あるいは他のエロ嗜好をさしおいて、最後に人形に行きつくのかもしれない、などと思うこともある。
 そうだ、俺は人間が苦手なんだ。たとえ愛する女だって人間だし、好きだった少年だって、結局は人間だった。生身というのは腐敗だ。春だ。その点、人形は冬だ。冷えていていい。腐らない。清潔だ。美しい。あり方が美しい。人形みたいな、ではだめだ。また、人形みたいに扱える、でもだめだ。人形じゃなくてはならない。人と同じサイズの、人形であってほしい。ただ、固まっていてはあまりおもしろくない。動いてほしい。心はいらない。

 そういうわけで、この話題は、俺の心を、みょうにかき乱す。かき乱さずにはおられない。ここまでくれば、もう少しだ、というところだ。あとは、体の方を、オリエント、オリエント時計などの技術で、さらに人間らしく、いや、美しい人形らしくしてくれればいいと思う。俺はその時代に間に合ったのか?
 ……いや、現実には間に合っていない。オリエント……時計すら買えない俺が、2億円だの2,000万円だのロボットをどうするというのだ。あと、50年おそく生まれておれば、人形少女と暮らせたものの……。いや、老人介護に、この彼女らが使われる日を夢見ようか。機械に世話されて、死ぬ。いいじゃないか、なんかとてもいいと思う。人生の最後くらい、人間の手から離れたっていいじゃないか。さらば娑婆、俺は、人形の、世界へ、行く……!

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