俺は日曜日、本牧の方へ散歩した(とても悲しかった)

 競馬を見終えてもまだ外はあかるい。風が強いので自転車はない。歩いて、俺は本牧の方へ行った。買い物に、行ったんだ。

 

 メーンストリートから一本内側を歩く。埋め立てられた川、川の上の健康広場。夕焼け。

 俺は動揺しないようにしている。脳をそのようにしている。動揺はないのに、悲しい。透きとおって、冷静に悲しいのだ。

 ああ、悲しいなあ、悲しい。どうしようもなく悲しい。でも、胸がつまったり、呼吸が苦しくなったり、手に力が入らなかったりしないんだ。冷静に悲しいな。ピュアに悲しい。俺は俺をこんなに冷静に見ていて、とても悲しいのだ。

 俺は、うまれてからこのかた、メランコリックで、リリシズムにあふれていて、ポエティカルなんだ。生活や政治や経済もくそったれだ。
 生活、生活なんて。
 人生、人生なんて。

 俺は、イトーヨーカドーの二階のチチカカで、ペルーの民芸品を買った(店員は、まれにみる美少年だった)。俺は、ブックオフへ行った。雑誌半額セールだったので、五年前のMovable typeの本を52円で買った。俺は、つるかめランドで肉を買った。肉が半額だったからだ。半額といっても、そんなに安いわけではなかった。
 買い物袋を持って、俺はゲオに寄った。ゲオに寄って、ニンテンドーDSiと、ファミスタDS2009を買った(色はピンクでいいんですか? と言われた。いいんだ)。俺は、こんなになんの決心もしないで、こんな買い物をしたことはなかった。俺は、肉のパックをぶらさげて、ゲーム機とゲームを買った。じつは、もう買うつもりで、イトーヨーカドーのATMで金をおろしていたんだ。
 俺は、帰り道のドラッグ・ストアで液体洗剤を買った。液体洗剤を、ニンテンドーDSiと同じビニール袋に入れた(袋はけっこうです、と言った)。
 ああ、俺は、俺は、こんなにも悲しい。