23-1x6月

 ロッテが11日の広島戦の6回、打者20人の攻撃で12安打4四死球で15点を挙げた。1イニング15得点15打点はプロ野球記録。

http://www.asahi.com/sports/update/0611/OSK200906110121.html

 
 ぼくがまだ絵本で野球のルールを覚えたてのころだったが、テレビのニュースを見ていたら、ニチハムというチームが11対0で負けていたので、ぼくはまだこの世に11点差で負けるチームがあるなんてことは知らず(野球について覚えたばかりだったので)に、「すごいすごい、11-0で負けたチームがある!」といって、わざわざ祖父母の部屋の方まで行って(二世帯住宅だった)、興奮して、「ニチハムって弱いねー!」って、そんな話をしに、祖父母の部屋の方まで行って、ぼくは、まだ幼稚園か小学校に入ったころだったか、野球を覚えて間もないので、11点も取られるような話というのは初耳で、しかもプロのチームが11点も取られるなんていうのは、なんて信じられないくらい弱いチームなんだろう、ニチハムというのは! と思ったのだった。それからしばらく、ぼくの中で、世界最弱のチームとはニチハムのことにほかならず、ピッチャーは津野浩と柴田保光で、キャッチャーは田村藤夫で、ファミスタではフーズフーズだったのでちょっと強いのが癪だったけれど、ともかく、オレンジ色のユニフォームの、日ハムは、ぼくのなかで、とても弱いことになっていたのだった。なにせ、プロなのに11点も取られて負けるんだ、いったいどんなに弱いんだって思ったから、ぼくはわざわざ祖父母の部屋の方まで行って、たぶん祖母はそういうとき、「日ハムの大沢啓二というのは、昔は江の島あたりで愚連隊をやっていてね」などという昔話をして、祖母はたいへんな野球マニアであったのだけれども、「しょうくん、プロ野球チームでも11対0で負けることは珍しいことではないの」と教えてくれたというような記憶はなく、ともかくぼくは、11点差で負けるようなチームがこの世に存在することにたいへん驚いて、日ハムは弱いなーと、その意識は、彼らがこないだ北海道に行くまで続いたのであって、その間の我が赤ヘルはとくに誇れるような時期が長かったわけでもなく、北別府学大野豊川口和久……の投手王国の夢は見ていて、小早川毅彦が四番だからってバカにするなよ、江川卓の引退を決めた一撃を忘れるなよって、ぼくは、神奈川県で、孤独に広島を応援しているのだ。