クロスバイクではなかなかモテない

徒歩や電車や車だと、まわりの人と言葉を交わす、という機会はほとんどないのだが、自転車に乗っていると、これが、けっこうある。

ロードレーサーがモテる事例1 - Blue-Periodさんの日記

 こちらを読んで、自分にそんなことがあったかどうか考えてしまった。もちろん、こちらの方の走行距離・走行時間とは比べものにならないが、一回もそんなことはなかったんじゃないのか。巨乳ロードレーサーを見たこともなかったんじゃないのか、と思う。
 ……が、こないだ、横須賀に行ったときに、一度あったじゃないか。
 行きのことだ。朝六時過ぎ、まだ早い元町、しかし、夜が終わったばかりの若者、おっさん、夜明かしの人たちがぽつぽつ。信号待ち。「すみませーん!」とおっさんのだみ声。あからさまに、俺に向かって聞こえる。どこから? 右から。目をやると、一車線向こうのタクシー、後部座席からおっさんがこっちに手を振りながら叫ぶ。「あのー! すみませーん! インターネット持ってないですか−!」
 ……えー、意味がわからない。後部座席にはもう一人おっさんがいて、なんか「まあ、まあ」となだめているよう。でも、両方とも酔っぱらいだろ。無視して顔を前に向ける俺。「おにーさん、インターネット、……おい、無視すんな! おい! おい!」とおっさん。
 信号が青にかわると、開きっぱなしの窓から顔出して、おっさん、「インターネットォォー……!」と叫びながらトンネルに消えていった。心なしかタクシーが飛ばしているように見えた。運ちゃんありがとう。

 あー、でもね、「インターネット持ってないですか?」って言われて、自転車跨ってる俺が即座に頭を巡らしたのは、「インターネットならないが、ケータイからEZwebに接続することはできる。なんらかの情報収集、検索は可能だ」ということ。なんかこう、どんな状況であれ、とりあえず他人の言うことに応えようとする意味不明なプレッシャーがあるね、俺はそう感じた。必ず拒否から入るのも面倒だが、即座にその可能性を考えてもいいんじゃないかと思う、ある程度は。

(↑ヴェルニー公園に沈んでいた自転車。盗品が捨てられたのか、自転車ごと海に身を投げたのか……)