『咲-Saki-』1〜6巻を読んだ。

咲 Saki (5) (ヤングガンガンコミックス)
 アニメをたいへん気に入った『咲-Saki-』なのですけれども、原作の方は未読でして、私は経済的事情などもあってあまり漫画なども買える身ではないながらも、ときおりアニメまとめサイトに貼られている原作漫画のコマや、また、原作がアニメ通りといいますと少しおかしいかもしれませんが、この面白さは原作ゆえのものだというような、そのような予感もありまして、ついに小林立さんの漫画の方に手を出し、一度に全巻そろえることとあいなったと、こういうわけなのであります。
 しかして、その予感は裏切られることなく、アニメの追体験というとおかしなことになりますけれども、『咲-Saki-』に感じていた魅力を十分に感じられまして、それは当たり前なのですけれども、そういった具合でありまして、とくに私の好きな加治木ゆみと東横桃子のやりとりなどは、ほとんどウルっとくるくらいのものでありまして、買ってよかったと言うほかありません。
 とはいえ、少し意外に感じましたのは、だいたいアニメというと原作から要素を絞って拾いあげるような、そのようなケースが多いように思うわけでありますが、この『咲-Saki-』に関しましては、むしろアニメの方が肉づけされているというか、どうもおそらく原作者の方の意向もおおいに含んだアニメ化であって、それら一体のプロジェクトと見た方がよいのかもしれませんが、そのあたりのアニメ制作事情などについては疎く、また、最近の漫画雑誌や漫画からも離れているため、いまいちわからないのですが、アニメの方で団体戦ラストや個人戦が先行したという事情などをさっ引いても、そのように感じられたのでありました。
 なんというか、『咲-Saki-』というのは、一見の見た目とは裏腹に、そうとうに硬派な、それこそ闘牌シーン中心の漫画なのだと、そのような印象を受け、一方で、日常的な描写は回想シーンなどで押し挟まれる形を取っており、それゆえに六巻までのテンポというと、トントントンっとくる感じでありまして、はやく先を読みたいという一方で、Wikipediaに書かれているような、そのような面を抱えているのもたしかなのでしょう。

ヤングガンガン』に掲載されている作品は1つの号に掲載可能な作品数よりも連載作品数が多いために誌の方針上定期的に休載するが、その中でも本作品は比較的休載が多い。これはストーリーに加えて上述の作品中に登場する牌譜を全て作者1人で考える作業に時間がかかること、それに加えて単行本が出版される際にキャラクターの表情やトーン・ベタ塗りに修正をする、演出強化のために加筆する、麻雀描写に間違いがあった場合に検証を加えた上で修正する、カバー裏のおまけ漫画を描くなどの細かい作業を行っているためである。

 というわけで、牌譜への作者の並々ならぬ思いがあり、またそれゆえに『咲-Saki-』の魅力がある以上、これはいたしかたないことでありまして、中学生のころに「近代麻雀」三誌、オリジナル、ゴールド、別冊をすべて毎号買っていたような自分としては、ひさしぶりの麻雀漫画であることもありまして、アニメも見返しつつ、なおかつ百合気分にひたりつつ、Nintendo DSでゲーム化されないものかなどとも思いつつ、待ちつづけることになるのだと思います。