浜名湖競艇新鋭王座決定戦を見ながら、先駆者とその後進のことを考えた


新幹線の車窓から急に水面が見えてテンションがあがったが、今考えるとこれは浜名湖競艇をすこし過ぎたところではないのか

 今年は競艇に目覚めた年になるかもしれない。去年はクロスバイク、今年は競艇。そのような予感がすこしだけしている。だいたい部屋で読むものといえば、こないだ買った『BOAT Boy』二月号であって、選手斡旋の一覧だの、各地の優勝戦の結果などをとりとめもなく眺めているありさまである。また、iPhoneからYoutube競艇動画などを見たりしている。昼休みには「外で食ってきます」と言って、ボートピア横浜にゴーという具合である。仕事中も、片隅にライブ中継の小窓を出して……。
 全速ターンで駄目人間まっしぐら。
 それはそうと、新鋭戦、新鋭王座である。どうも、雑誌やウェブでの情報を見ると、新鋭王座は売れないG1のようだ。なるほど、たしかにボートピアでも他に開催している戸田や平和島のモニタの方に人が多かったような気もする。理由はというと、「選手がよくわからないから」といったことらしい。
 俺には関係ない。∵! 俺はSG級のレーサーもこの道何十年のベテランレーサーもさっぱり知らないからだ。自分の脳味噌の中に情報はない。出てきた情報がすべて。そうなると、はっきりいって新鋭だろうとなんだろうと関係ない。そういう話だ。
 しかしまあ、やはり俺は競馬者なので、競馬と比べて考えてしまう。「新しい選手はよくわからない」。このあたり、競馬にもないわけじゃない。人にたとえるならば、新人騎手限定戦で、「なんとなくあぶなっかしいな」というような気もするし、よほどずば抜けてないと安心できないような気もする。馬にたとえるならば、朝日杯FS阪神JFか。なるほど、たしかに俺は夏などに休む傾向にあって、POGなどもしないので、「とりあえず来年の春までにおぼえるよ」という意識はある。それにだいたい、ダービーやオークスだって「新鋭王座」といえば新鋭王座なのだ。
 競艇は、スパンが違うな。おそらく、競輪も。俺がもし今後十年、二十年と競艇を続けるとしたら、今、新鋭と呼ばれている選手たちもおおよそそれにつきあって現役を続ける。なるほど、十年見ていたら、ある選手の特徴などよくわかるようになるやもしらん。新人選手のレースを買う気にならないほどに。それはたぶんあるのだろう。おそらく、競輪、オートにも。もちろん、騎手という面から切り取れば、競馬もそうだけれども。
 それでまあ、競艇というやつは、SG級などと呼ばれる選手も、一般戦を走ってるわけだ。これは、競馬にはないことだ。いや、武豊だって内田博幸だって、午前中の未勝利戦に乗るが、まあ今は馬になぞらえる。今のウオッカが午前中の一般戦に出てくることはない(障害入りすればありうるが、障害入りはありえないが)。そこんところが、まあなんというか、違うよなというような。
 そうだ、それで、そういうベテラン、SG級の壁が厚いという話だ。なかなか石川遼みたいにぶっ放せる選手が出て来ないという。もちろん、どの競技見比べても、石川遼みたいのはなかなか出てこないが(競馬でいえば武豊級?)、とくに競艇はそうだという。B2からクラスを上げていかなければ大レースに出られない、新人は不利な6コースに回される、そんな話があるようだ。
 そして、一番興味深いのは、今、上の方にいるバリバリの一線級の時代に起こったことだ。このあたり、俺は昨日競艇に興味を持った身なので間違ってるかもしらんが、とりあえず書く。時系列とかようわからんが、まず乗り方の変化があって、全速ターンやモンキーターンという新技術によって、若手がベテランを食っていった時代があった。そして、持ちペラ制の導入というので、これまたベテランの優位が崩れたこともあった。このあたりのことである。
 もちろん、それに対応したベテランもいるだろうし、それで上位に躍進できなかった若手もいるだろう。ただ、そこに、ダイナミックななにか、ガラガラポンがあったということだ。そして今、その時に頂点に駆け上がった選手たちが、さらに努力を怠らずそのポジションを維持し、厚い厚い壁になっている。
 ……というような、まあ、そんな話かと思うのだけれども、このあたり。これを閉塞感というのかどうかはわからん。わからんが、長年見ている人にとっては、そう感じられるところもあるのかもしれない。このあたり、たとえば社会とか世代とか、そのあたりにもたとえられることかもしらん。技術革新や何らかの外的要因によって、世代交代が起こる、とうような。で、そのあと、その革新でビッグになった先駆者が、まだまだリードし続けたとき、後進が伸びないように見える、などというような。
 ……ビジネス、興味ねえや。まあ、しかし、そのあたりのこと、たとえば、将棋とかでもあんのかな、などとつらつらと考えつつ、仕事に戻ろう。仕事って、もちろん競艇で小銭を稼ぐ仕事だよ!