公営ギャンブル場が福祉に貢献しうるなんてことがありうるだろうか

goldhead2008-09-04

 図書館とホームレスやなにかが話題になっていたらしいのをつらつら追っていたら、こちらの記事に行き当たった。

で、最近話題の図書館とホームレスの件。ちょっと見ただけなのでなんともいえないけれど、この野毛は横浜のドヤ街『寿町』とも比較的近いわけで、ホームレスの人の利用が結構あっても不思議ではない。今日見た限りではホームレスらしき人はほとんど見かけなかったけれど、連続して観察しているわけではないので、はっきりしたことはいえません。

http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20080903/1220450344

 横浜場外の上の方にある横浜中央図書館(桜木町はかつて毎週末の居場所だったけど、ここには行ったことないや)のことが書いてあって、本題はシアトルのようだけれども、シアトルといえばそこの角にできたシアトルカフェくらいしかしらないので、ほぼ寿町の自分はこちらについて思いをめぐらしたりしてみる。
 ……してみるに、はっきりしたことはいえないけれども、もしもドヤ人のなかに屋根としての、空調としての無料施設を求めるような人がいたとしても、あそこまでは行けないように思える。歩いていくのにほぼ二駅ぶんあって、とどめの坂道がつらそうだ。それで、いつもドヤの住人になる可能性をかかえている僕がシミュレートするに、暑さ寒さなどをしのごうと思ったら、ボートピア横浜に行くだろうと思う。

 この場外舟券売場、「横浜」などと言いつつ、完全に寿町のブロック(地名的には違うようだけど、感覚的に)、その角にある。1年360日開いていて、ナイター競艇までカバーしているのだからそうとうの時間やっている。タダ茶もある(たしか。生まれて初めて川崎競輪に行ったときは、無料給湯コーナーで粉のオレンジジュースが出ることに感動した)。だいたいこういう鉄火場は、ホームレスもそうでない人もたいした差のないどぶねずみ色の集団だから(僕はすごくよく溶けこむと何度か指摘されたことがある)、よほどの狼藉をしないかぎり追いだされることはないのではないだろうか。100円玉1枚で血の出るような勝負をしてみてもいいかもしれない(あれ、まわりではもっと寺銭が安いところがあるって?)。ひょっとして、自治体が巨大収容施設として建てたわけじゃないだろうけど。
 ただし、居心地がよいかというとそういうこともなく、座れるようなスペースというのはほとんど存在していない。それはおそらく、無料席で場所取りしてそのまま身動きしないようなスタイルは歓迎されていないというわけで、とっとと馬券(舟券、車券)を買って出ていってくれというような、そんな意図があるのではないかと思う。
 たとえば桜木町の場外にしたって、「この建物はこういう目的のために建てられていたのだ」と理解したように思えたのは、たぶんマヤノトップガン有馬記念のときで、その頃は当日500円単位発売でも、本館の方なんて入口から行列ができていて、そのままベルトコンベヤーのように運ばれて、あらかじめ決めていた馬券を機械(あっちは最初からオール機械化されていたと思う)で機械的に買うだけだった。そのときの流れというのが、もちろん面白くない窮屈さであって、とてもじゃないが競馬を楽しむというのにかけ離れていたのだけれど、たしかに建物はこういった人の流れに対応していたのだ。今じゃもう、すべての馬券はネット経由で買うようになってしまってご無沙汰だけれど、人の少なくなった場外は、やはり長時間いられるようなスペースではなかったように思う(たぶん、いつも水上学などが怒ってることだと思う)。
 それで、何の話だったっけ。マヤノトップガン有馬記念タイキブリザードの首の低さの話だったっけ。なんか違うような気がするけれども、たとえば要するに世間の鼻つまみ者である公営ギャンブルも、行き場のない人のシェルターになっていますよ、などとアッピールしていくのはどうだろうか。舟券売場の一角で、ソーシャルワーカーなどが「もう、ギャンブルからきっぱり足を洗いましょう!」とか言ってて、それはそれでちょっと見てみたいとは思うのだけれど、まあそれ以前に税金的にお荷物になってしまった段階で公営としての役目は切って捨てられるだけの話であって、たとえばここらあたりのそこここの街角に立っているボートピアの誘導員(「寿地区の雰囲気がよくなったと言いわれるよう、近隣地区の生活環境改善にまい進する」と社長のコメントがあったけれど、これが絵空事でないのだから少々意外だった。警察官や警備員でないけれども、それらしい人が街角に立っているというのは、やや心強いのだ。もちろんそれを気持ち悪いと感じる人も多いだろうけど、土地柄というものもあるので。あと、主に観光地への案内人として活躍しているよう)とは寿町からの雇用かどうかはわからないけれども、そのあたりのアッピールもどこまで有効かというと、あまり明るくはないように思える。もし福祉とギャンブルが噛み合って雇用創出、そしてかつてのように地方財政に寄与でもさせようものなら、もうノーベル賞級だろう。須田鷹雄とかが考えればいいと思う。
 というか、ボートピア横浜の未来だってあるのかどうかよくわからない。できてからしばらくはちょくちょく昼飯食いに行っては(一階に食堂があって、僕の感覚から言ってもちょっと高いのでいつもガラガラだ)、野口英世一枚溶かしたりしていたわけだけれども、やはり暑い季節になってくると足も遠のき、たとえばこのままこれが大きな廃墟ビルになってしまっては、自分の将来の安息の地が失われるやもしれず、たまには社会貢献に出かけなければいけないかと思う。まあ、普通にボートピアが繁盛しているかもしれず(上の方はVIP用だかんね)、よけいなお世話かもしれないのだけれど。つーか、俺はどっかの競馬場のスタンドの片隅で、当たり万馬券握りしめて静かに死ぬことに決めてるから、そのあたりは公営ギャンブル場にケアしてもらいたいと思う。

関連______________________

  • 雪中小景……ボートピアで検索して出てきたもう一件。自分の寿町に対するイメージはこんなものなので、おおよそ上の内容もいいかげんでしょう。
  • http://www.manabi.pref.aichi.jp/general/10001905/0/kouza/section4.html……ブックマークより。寿町で働いていたソーシャルワーカーさんの話。なにをもって「ホームレス」というか。たとえばドヤの人の、最近は働くこともできない人たちを何と呼んでいいのかわからないので、ドヤ人などと書いたりしている。あと、野毛くらいなら行くのか。

※2013年2月15日追記
……2012年初頭から野毛の図書館を利用するようになった。館内であからさまにホームレスっぽい人には遭遇していない。ただ、館内を巡回する警備員は、自習している学生らしき若者であっても、ちょっと居眠りをはじめると「大丈夫ですか?」といちいち声をかける。寝床にするなということの徹底かと思う。あと、年末か年始か野毛の地下道で、空き缶を前に正座している、絵に描いたようなホームレス、いや、あえて乞食と言ったほうが適切かもしれない、そんな姿を見た。金を入れる勇気はなかった。ボートピアにはまったく行っていない。ただ、伝聞ではあるが、ボートピアからのあがりで大通り公園の再整備ができたという。真偽は知らない。新聞記事によると寿町も再整備されるらしい。おれは将来どこに行けばいいのだろうか。