三渓園の早朝観蓮会へ行く

往路

 ハッと目が覚めて時計を見たら七時半、ではなく四時半。外を見たら雨が上がっている。朝焼けでも撮れるかもしれないなどと思い浮かび、さらには三渓園の早朝イベントを思い出す。朝の散歩にでかけることにした。





三渓園

 開園ジャスト六時ごろに到着。ちょっとした人だかり。三脚バズーカの方々が多い。こんな朝からカメラぶらさげて、ほかにすることはないのか。俺もだが。入園料は五百円。いくらか取られるのは知っていたが、五百円だっけ。





 主役のハスなのだけれども、あちらこちらにぽつぽつと開花。近寄ろうとすると下はぐちゃぐちゃのドロ沼で注意が必要。まあ、近寄れないし、ろくに撮れない。まあ、ハスはいいか。この世界のリソースは有限だし、かりそめに俺もそのリソースのひとつとするならば、ほぼ同じ位置の同じ時間の情報をより劣った精度で送るべきではないのだ。それならばむしろ、場所をかえてできるだけユニークなものを送るべきだ。どこに送るって、それは神さまだとかVALISだとか、そういうものだ。やがてはGoogleがそれにあたるだろう。
 山を登った。山の方はだれもいなかった。一番乗りだ。展望台も独り占めだ。原三渓だってだれだって、自分の庭園をもちたいというのは、独り占めしたいからじゃないかと思う。
 展望台からは富士山が見えた。富士山の手前に工場やタンクがあって、まるで富士山の麓までずーっとこういう工場がつづいているような妄想にとらわれた。頭の中のそのSF的な光景は、涙が出るほどすばらしいと思った。





復路

 猫にあいさつするなどして帰路についた。なか卯で豚汁定食を食べた。うっかりボタンを押してしまったのだ。俺は卵かけごはんはあまり好きでないので、本来は鮭定食なのである。商店街に嘘みたいなひまわりが咲いていて、もう夏なのだと思った。