生・老・病・死のメタルギア〜『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』伊藤計劃〜

 『虐殺器官』に続いてすぐに購入して読んだ、伊藤計劃メタルギアメタルギア伊藤計劃メタルギアのノベライズ。
 メタルギアと俺。俺とメタルギア。俺はメタルギアを少しだけ知っている。サイコ・マンティスにメモリーカードの中身を読み当てられたこともあるし、「巻き舌宇宙で有名な紫ミミズの剥製はハラキリ岩の上で音叉が生まばたきするといいらしいぞ。要ハサミだ。61!」や「らりるれろ」にゾクゾクしたこともある。え、オタコンって非童貞なの!
 が、やっぱり少しなのだ。あまりプレイした記憶がない。ただ、弟がプレイするのを後ろから見て楽しんでいた。そっちのほうが多い。なぜなら、俺は下手くそで、自分でやるとすぐ死んでしまうのだ。そんなわけで、まったくのメタルギア知らずでもないが、全部知ってるわけでもない、というレベルの人間だ。
 その俺が、読んだわけだ。たしかにこの小説は、単なるゲームのノベライズにあらず、一冊の本として読める。読めるが、やはり、メタルギア体験があるかないかでずいぶん変わってくるのも確かだと思う。むろん、あったほうがいいはずだ。もちろん、回想的な箇所、解説的な箇所でいろいろ想起されるものが大きいというのもあるし、なにより作者が深いメタルギア体験をしてきた人間だからだ。そのあたりはあるし、俺もちょっとは乗れたような気はするが。
 が、それよりも印象にのこるのは、ソリッド・スネークの老いの描写。これがきつい。これでもかというくらいに描かれていた。読んでから少し経つが、そこが一番残っている。そして、ひょっとしたらそれが、作者自身の病や肉体についての実感から出てきているところなのではないか、などと思うと、これはなかなかにすさまじいものがある。ひとつの作品に対して、その作者の健康状態まで勘案するのはどうか、などという話もあるかもしれないが、やっぱり小説は血肉のある人間の書いたものなので。『高丘親王航海記』にだって、澁澤龍彦の喉の違和感がはっきりと出ているわけだし。
 でもって、それで俺はともかく『メタルギア』シリーズをプレイしたくてしょうがないわけなんだけれども。ここのところ「プレイステーション3がほしい」とか言ってるのも、それ以外になくて。でも、なんかいきなりPS3MGS4やっていいのかどうか、とか。でも、PS2じゃテレビに対してたりてないし、PSPは画面小さくておっさんには辛いしな。いや、それ以前にPS3を現状では買う余裕が無い、というところに落ち着くわけで、またいつか、というあたりか。

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