はげしく映画化希望 深町秋生『ショットガン・ロード』

 

ショットガン・ロード

ショットガン・ロード

 

 山形の郷土料理である芋煮は、地方によって作り方が異なる。海沿いの庄内地方では味噌仕立てで、豚肉が用いられれる。彼女の出身地である村山地方は醤油ベースで、牛肉が使われる。話す方言も地元住民とはだいぶ異なる。

 というわけで、深町秋生先生による芋煮をめぐる旅……ではない。なにせショットガン・ロードだ。じゃあ元殺し屋グループのエースだった漁師がショットガンを武器にロードムービーしようというのかというと、それともちょっと違う。ただし、血まみれ、残虐、バイオレンスは保証できる。

おれは今、非常に抑うつ状態にあって、セルフネグレクトに近いような心持ちで生きている。こういうときに、現実逃避するのに、そのバイオレンスはたまらんのだ。ヤクザ世界、死体を薬物で溶かす世界、死体の山。たまらんなあ。

それで、主人公が五年、五年、殺しの世界からブランクのある漁師。そこんところがいい。とはいえ、「ナーメーテーター」ものとも違う、その感覚がおもしろい。そして、おれが頭のなかになにかしら思い浮かべていたのは、ゲームの『メタルギア』シリーズであって、おれ自身はゲーム下手なので弟のプレイを後ろから見ていただけなのだけれど、そんな雰囲気がある。戦争のプロのハードボイルド。

一方で、渋谷の不良や、田舎のチンピラヤクザのバックボーンが語られ、その細かさが荒唐無稽ともいえるストーリーになんらかのリアリティを持たせている。

その上で、ヤクザ社会と警察、このあたりのバランス、悪くない。とはいえ、ともかく、ショットガンのロードに踏み込んだら一直線だ。暴力だ。圧倒的、暴力。これはたまらんなあ。そいでもって、こういう小説が安っぽくなくノワール映画として作られたなら観てみたいなあと思うのだ。そういうのは小説家にとって失礼なことだろうか、わからん。わからんが、ともかく本書を読んで皆殺し感覚でハッピーになろう。味のある殺し屋たちがわんさか出てきまっせ。以上。

 

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