流星群の空の下で

 ふたご座流星群の夜である。流星群は嫌いじゃない、むしろ好き。まさか流星が撮れるとは思わないが、せっかくなのですばらしいα550に古いミノルタのレンズ(AF24-50/f4、なにか意図があるわけでなく、たまたま。レンズは会社に置きっぱなし)をつけて、三脚装着で出歩く。出歩くというか、すばらしいルイガノMV1のカゴに生身でのっけて出かける。

 適当に空を撮る。雲がへんなことになっていて、なにか深刻なエラーかと思う。風で早く流れているだけだった。

 電柱の向こう側の光は月なのである。こんなにギンギラにするつもりはなかった。この、月光でシルエットがという感じ。もっとアップで、暗めで、でも、アップにしたらピント合ってなかったし。だから、各自想像されたい(意図を説明して見る人間に脳内での構築を要求するという新しいスタイルの写真術)。
 これ撮って公園から出ようとしたら、チェーンが外れるというホラーショー。手が汚れる。公園の水道で手を洗う。油汚れ、水で簡単に落ちません。でも、いいか、べつにレンズに触るわけでもないし。

 地域住民による通報、警官による連行、自警団による暴行、愚連隊による凶行などで頭がいっぱい。

 調子にのって根岸森林公園。外縁は比較的明るくジョガーなどもいるが、公園内は暗い。一台、ずっと止まっている感じではないママチャリ。嫌な予感。誰かいるのか?
 と、公園の中の方、下の方、ちょっと遠くの方から笑い声というか嬌声というか、とにかく若い女の子の声が聞こえる。複数。男の声。中学生だろうか高校生だろうか、こんな時間に集まってセックスでもしているのだろうか。俺は見つかったら狩られるのだろうか、悲惨な目に遭うのだろうか、そんな場合は自転車でとにかく逃げようか、小径車とはいえ100kmは逃げるぞ、ついてこられるか、いや、帰ってくるの待ち伏せするか、いや、しかしなんで俺がそんな目に……。
 などと勝手に世界を呪いながら写真を撮る。これについては、根岸競馬場の廃墟の近くにおぼろげな月があったのを撮りたかったのである。想像されたい。しかし、もう少し300mm、いや、200mmあれば、しかし、あったところで無限遠では。ようわからん。あまりに暗すぎる。

 それで結局流星についてだけれども、たぶん見ていない。ちょっと横浜の空では無理だろう。なぜか赤いし、いつもいつも。

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